訪問看護師の仕事内容と役割は？やりがい・給料・スキル・将来性を一挙解説

訪問看護師は患者さまのご自宅などで看護を提供するため、病院の看護師とは異なる働き方をします。今回は、訪問看護師の仕事内容や役割、やりがいについて詳しくご紹介。将来的に需要が高まることが期待される分野であるため、訪問看護師の仕事に魅力を感じている方はぜひ参考にしてください。

• 訪問看護師の主な仕事内容と果たす役割
• 訪問看護師の1日【スケジュール例】
• 訪問看護師の4つのメリット・やりがい
• 訪問看護師の3つのデメリット・注意点
• 訪問看護師に向いているのはこんな人！
• 訪問看護師の給料事情
• 訪問看護師に必要とされる資格・スキル
• 訪問看護師の将来性
• 訪問看護師として転職するには？
• 【転職経験者に聞いた】訪問看護師の仕事内容ややりがいは？
• 訪問看護師は在宅療養を支える将来性の高い仕事

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訪問看護師の主な仕事内容と果たす役割

訪問看護師は、訪問看護ステーションのほか、病院やクリニックなどに在籍して、地域で在宅医療を支える役割を担っています。基本的にはケアマネージャーが作成した「居宅サービス」や主治医が作成した「訪問看護指示書」をもとに訪問看護を実施します。

訪問看護を受ける患者さまは乳幼児から高齢者まで幅広く、診療科も多岐にわたるため、さまざまな年齢の患者さまと接することができるコミュニケーションスキル、幅広い診療科に対応できる能力が必要です。訪問看護師の具体的な仕事内容をみていきましょう。

健康状態の観察・管理

訪問看護師の代表的な仕事内容として、体温、血圧、脈拍などの測定や持病の状態確認があります。

また、睡眠や食事など生活の状況も問診により確認し、そのうえで日々の体調に応じた療養生活のアドバイスをしていきます。普段と違った症状があれば主治医に報告することもあります。

ご家族の支援・相談

患者さまだけではなくご家族の支援も、訪問看護師の大事な業務です。超高齢社会では老老介護も増加しているので、困りごとや悩みの相談にのり、適切なアドバイスをします。

在宅療養の継続のためには、ご家族の休息を確保することも大切です。ご家族の状況に応じて、訪問看護の時間を主介護者が休息に充てられるように配慮したり、利用できる外部サービスについて提案したりすることもあります。

医師の指示に基づく医療処置

カテーテル交換、インシュリン注射、点滴から服薬管理、人工呼吸器など医療機器の管理なども、訪問看護師の主な仕事内容です。

実施する医療処置の内容は、訪問看護指示書に基づいて決められます。処置は基本的な手技がほとんどで、専門的な技術が必要なケースはほとんどありません。服薬管理は飲み忘れを防ぐための工夫や服薬指導も含みます。

日常生活のサポート

患者さまの食事・排せつ、入浴などの介助から体位変換、褥瘡防止、栄養指導、外出訓練なども訪問看護師が対応します。

なお、訪問看護師が直接ケアして介助者の負担を減らすためサポートする場合もありますが、普段介助しているご家族や患者さまに対して、より安全や衛生に配慮した方法を指導し、間接的にサポートすることもあります。

認知症と精神疾患のケア

ご家族に対して、服薬指導や認知症、精神疾患の方への対応に関するアドバイスを行うことも、訪問看護師の役目です。

ひとり暮らしをされている患者さまのケースでは、生活面での困りごとに対する相談にもアドバイスをしたり、ひとりでも生活しやすいように身の回りを整えたりする介助行います。

リハビリ

訪問看護師は、訪問看護業務の一環として患者さまのリハビリを行います。リハビリの内容は歩行や日常動作の訓練、嚥下機能訓練、運動不足の解消、廃用症候群の予防などさまざまです。患者さまの状況に合わせた対応をします。

ターミナルケア

終末期を自宅で過ごしたいという患者さまの希望に寄り添い、少しでも苦痛を和らげるためのケア全般を行います。加えて、在宅での看取りとご家族に対する精神的なケアを行うことも訪問看護師の仕事です。

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報告書作成・その他事務業務

訪問看護では訪問時間やバイタルサイン、患者さまの様子や実施した内容を記録していきます。看護記録は訪問後なるべく早く、遅くともその日のうちに記載することが大切です。

また、医師をはじめ患者さまと関わりのある他職種に連携が必要な場合は連絡や報告をしたり、月ごとの「訪問看護報告書」も作成したりします。

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訪問看護師の1日【スケジュール例】

訪問看護師の1日は、基本的には訪問看護ステーションへ出勤します。事業所内でミーティングやカルテの確認、持参物品の準備をしてから訪問先へ向かいます。訪問件数は事業所やその日の予約状況によって異なりますが、午前中に2件ほど、午後に3件ほどが多いです。

訪問先での仕事の流れ

訪問看護師の仕事は、患者さまやご家族へのご挨拶から開始。挨拶を行うことで患者さまやご家族の気持ちがほぐれ、ちょっとした体調の変化や困りごとなどを相談してもらえるような関係作りに役立ちます。

また、感染予防で手洗い場をお借りしたり、ご自宅の物品を使わせていただいたりする際にも丁寧にお願いして信頼関係の維持に努めることが大事です。ひととおりの処置や相談、連絡ノートを記入したら、忘れずに次回の日程を約束し訪問が終了します。

訪問看護師の4つのメリット・やりがい

訪問看護師として働くメリットややりがいはどのようなものでしょうか？

柔軟な働き方ができる

訪問看護師の働き先は、「日勤のみで夜勤なし、土日休み」という事業所が多いので生活のリズムを整えやすいです。また、午前中のみの勤務や週3回勤務など柔軟に働くことができる場合が多く、子育て中の人や家族の介護中の人にも働きやすい職場といえます。

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1人の患者さまとじっくり向き合える

訪問看護師は病院看護師と異なり、一人ひとりの患者さまと長期にわたって関わります。訪問看護では1日に4件から5件ほど訪問するので、「患者さまやご家族としっかり関わっていけるのが看護師としてのやりがい」と考える看護師に向いているでしょう。地域に根付いた活動であるため、社会的意義を強く感じられます。

日勤中心でも高収入を目指しやすい

訪問看護師の場合は基本的に夜勤がないものの、全体的に給与水準が高めの傾向にあります。看護師の仕事は一般的に、夜勤があるほど手当がついて高収入を目指せる傾向です。

日勤のみの勤務や、安定した休みが取れる環境でありながら、高収入を目指したい人にはメリットがある職場といえるでしょう。

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在宅医療のキャリアを磨ける

超高齢社会は避けては通れない未来です。今後は在宅医療や地域医療の需要が高まります。訪問看護師として在宅医療や地域医療の経験を積んでキャリアを磨くことで、将来の働き方やキャリアの幅を広げられるでしょう。

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訪問看護師の3つのデメリット・注意点

訪問看護師の仕事は魅力がたくさんありますが、事前に知っておきたい注意点も存在します。訪問看護師の仕事の注意点と事業所選びのポイントをみていきましょう。

看護師1人にかかる負担が大きい

訪問看護師の職場では「担当制」の看護方式を採用している場合が多く、訪問看護師が1人だけで患者さまや家族と接します。何か分からないことがあったときにすぐに同僚や先輩看護師に相談することができないため、幅広い知識と臨機応変な対応力が求められます。

すべて1人で仕事を行うことにやりがいを感じる人には向いていますが、1人での仕事がプレッシャーに感じる人にはデメリットと言えるでしょう。

ただし、事業所によっては「チーム制」の看護方式を採用している場合もあります。チーム制とは、所属する看護師を複数のチームに分けて、チーム全体で1人の利用者さまのケアを行う看護方式です。チーム制の訪問看護ステーションを選べば、看護師1人にかかる業務や精神的な負担を軽減できるでしょう。

オンコール体制のある訪問看護ステーションもある

「オンコール」とは、看護師が緊急時にすぐに対応できるよう待機する勤務形態です。訪問看護ステーションによっては、オンコール体制があることがあります。

オンコールは手当がつくことが多いですが、オンコールがあると休日や夜間ゆっくり休めないと感じる人は、オンコールがない訪問看護ステーションで働くようにしましょう。

病院勤務に比べて高度な看護技術を学ぶ機会が少ない

訪問看護師は1人で患者さまの対応をするスキルが磨かれる反面、高度な医療処置に携わる機会は少ないです。そのため、病院勤務の看護師に比べると看護スキルを磨く場面が限られる傾向にあります。

ただし、訪問看護師の仕事では現在需要の高い「在宅医療」に関するスキルや経験を身につけられるというメリットがあります。訪問看護は、とくに「在宅医療」のキャリアを積みたい方におすすめの職場です。

訪問看護師に向いているのはこんな人！

訪問看護師の働き方は、患者さまの生活に寄り添って、その人に合わせた看護を行いたい人に向いています。「土日休み」「日勤のみ」などで柔軟な働き方を選択したい人にとくにおすすめです。

また、自己管理能力が高い人や、1人で訪問する場合でも自分で判断し適切な対応が取れる人、患者さまとの信頼関係を築きやすいコミュニケーション能力が高い人にも向いています。

訪問看護師の給料事情

続いて、訪問看護サービスで働く看護師の給料事情を見ていきましょう。ナースステップで訪問看護師の年収を調査した結果は下記の通りです。

※一般職の場合

一般職の訪問看護師の場合、平均年収は400万円〜500万円ほどで推移する傾向が見られます。精神科訪問看護に比べて、身体的な支援やケアを行う訪問看護師の方が、やや年収が高めです。

なお、管理職の訪問看護師や入職後3年程度経過した場合などでは、訪問件数や評価に応じて年収550万円〜600万円ほどまで上がるケースもあります。

夜勤がない職場がほとんどでワークライフバランスを実現しやすい環境では、比較的高い給与を期待できるといえます。

訪問看護師に必要とされる資格・スキル

訪問看護師として働く場合に必要な資格やスキルを紹介します。また、あるとさらに役立つ資格についても紹介しますので、資格取得の参考にしてください。

訪問看護師に必要とされる資格

訪問看護師になるためには看護師の資格が必須です。他に必須の資格はありませんが、とくに臨床経験が3年以上あるとより即戦力として期待されやすいでしょう。

ただし、在宅医療業界は未経験の人でも入職しやすい傾向があり、基礎的な看護スキルがあれば十分といわれることもあります。また、特に地方では移動のために車を使うことが多いため、運転免許があるとよいです。

【訪問看護師の仕事に役立つ資格】

訪問看護師に必要とされるスキル

訪問看護師は、病院看護師と比べて、1人の患者さまに時間をかけて向き合えることがほとんどです。円滑なコミュニケーションスキルがあれば、患者さまが何を求めているか理解し必要な支援ができます。

また、訪問看護師には患者さまをよく観察し、高いアセスメント能力に加えて判断力や限られた状況で臨機応変に対応するスキルが必要です。

訪問看護師の将来性

高齢化社会の進展に伴い、訪問看護の需要は増加傾向にあります。国としては2025年問題や2040年問題に備え、「住み慣れた地域で可能な限り自分らしい暮らしを送れるように支援」する「地域包括ケアシステム」を構築しようと動き出しています。

その中でも訪問看護は、高齢化社会を支える地域医療の担い手として欠かせない存在です。訪問看護ステーションの数が年々増加傾向にあることからも、訪問看護の需要が高いことがうかがえます。

今後は、より一層患者さまに寄り添う視点とスキルを持ち、その人らしい自立した暮らしをサポートできる訪問看護師が必要とされると考えられます。

参考：厚生労働省「地域包括ケアシステム」
参考：一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和6年度　訪問看護ステーション数　調査結果」

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訪問看護師として転職するには？

訪問看護師として理想の職場に転職するためには、上記のように積極的な行動が必要です。自分に合った職場を見極め、自分が持つ力をしっかりアピールしましょう。

職場見学をして自分に合う転職先を見極める

ひと口に訪問看護ステーションといっても、職場によってさまざまな部分に違いがあります。自分に合う事業所を選ぶためには、可能な限り事前の職場見学がおすすめです。

たとえば、研修体制や教育体制では先輩看護師による同行があるのか、看護師1人が1日に訪問する患者さまの数など、実際に働いたときのイメージがわくようにしっかり確認しましょう。

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求められるスキルを理解して自分の強みを伝える

訪問看護師に応募する際の履歴書・職務経歴書作りや面接対策としては、訪問看護師に求められるスキル、必要とされる知識を洗い出し、自分の強みと重ねてアピールすることが重要です。

また、事業所によっても求める人材は異なるため、その事業所がどんな人材を求めているか事前に把握しておくことが大事になります。

未経験の人は過去の看護師経験をもとに自己PRを考える

訪問看護が未経験の場合は、過去に携わった看護師の仕事を踏まえて、「訪問看護にどう活かせるか」を考えて自己PRを作成しましょう。未経験であっても、訪問看護師に求められることを理解し、自分がこれまで培ってきたスキルや経験を役立てられるようなアピールができれば、魅力的な人材と感じてもらえるでしょう。

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【転職経験者に聞いた】訪問看護師の仕事内容ややりがいは？

訪問看護師の魅力ややりがい、向き・不向きは実際に経験してみないとわからない点も多いものです。そこで、ナースステップの転職コンサルタントに、転職希望者から寄せられる声を伺いました。経験者の声を参考に、訪問看護師の魅力を見ていきましょう。

Q.訪問看護師の仕事の魅力は？

「土日休みが多いこと」や「患者さま一人ひとりに寄り添えること」を魅力に感じている人が多くいます。また、「給与水準を保って働き方を変えられること」や「今後も需要が高まること」を魅力に感じる経験者も多い傾向です。

Q.訪問看護師の仕事のやりがいは？

訪問看護師経験者の多くは、患者さまやご家族からかけてもらう声や反応にやりがいを感じています。患者さまを深く知り、支援をすることで自分が役立てていると思えることも、やりがいにつながりやすいです。

また、自分の頑張りや努力が収入に反映されやすく、看護師としての高い手技を維持しながら働けることにやりがいを感じる経験者も多くいます。

Q.訪問看護師にはどんな人が向いている？

訪問看護師は、患者さまの生活とご家族を支える仕事であり、一人ひとりのニーズに合わせたケアが求められます。相手に「寄り添いたい」という想いが強い方や、患者さま・ご家族の意向をその場で考えて自発的に対応したい方に向いています。

また、個々の患者さまに寄り添い、それぞれのケアプランを立てて実践することにやりがいを感じる方にもおすすめです。さらに、訪問看護師は患者さまやご家族との関わりだけでなく、多職種連携も多い仕事であるため、コミュニケーション能力が高い人はとくに向いています。

Q.訪問看護師に転職するとき、どんなスキルや資格があると役立つ？

訪問看護師には、患者さまの健康状態を正確に判断し、適切なケアを実施することが求められます。基本的な医療知識と看護スキルは不可欠です。患者さまやご家族と信頼関係を築き、適切な情報の共有や意思疎通を図るために、コミュニケーションスキルも欠かせません。

また、訪問看護師は自分のスケジュールを自分でしっかりと管理する必要があり、訪問先では予期せぬ状況や緊急事態が発生する可能性もあります。効果的な時間管理や計画能力、臨機応変に判断・対応できるスキルが重要です。

また、訪問看護師としてキャリアップを目指す場合は、訪問看護に特化した知識やスキルを持つ認定資格である「訪問看護認定看護師(CVN)」の取得がおすすめです。訪問看護の専門知識やケアの実践に関する能力を評価される資格であり、訪問看護の専門家としての地位を確立し、キャリアの幅を広げることに役立ちます。

訪問看護師は在宅療養を支える将来性の高い仕事

なるべく住み慣れた自宅で療養したいという患者さまたちの希望は、訪問看護師の支えなしでは実現できません。訪問看護師はこれからの社会で需要が高まる注目の職種といえます。看護師にとっても患者さま一人ひとりとじっくり向き合え、夜勤がない、土日休みが多いなどメリットも多いです。興味を持たれた方はぜひナースステップにご相談ください。

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