オンコール手当の相場は?勤務時の過ごし方やメリット・デメリットを看護師向けに解説
記事掲載日:2024/12/04
看護師の職場で時々見られる「オンコール」。緊急での対応が必要とされるため、その分手当も見込めます。ここでは、オンコール勤務の特徴や気になる手当の相場を解説します。オンコール勤務のときの過ごし方も紹介するので、オンコールのある職場が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
- そもそも「オンコール」とは
- 看護師のオンコール勤務の特徴
- オンコール手当の種類・相場は?
- オンコール勤務のときはどう過ごす?【看護師向け】
- オンコールがある職場で働くメリット・デメリット
- オンコールがある職場で働くときのポイント
- オンコール勤務や手当に関するQ&A
- オンコールの条件は必ず職場に確認しましょう
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そもそも「オンコール」とは
オンコールとは、緊急対応が必要な場合に備えて待機する働き方です。夜間や休日などでも緊急の呼び出しに対応するために自宅や指定の場所で待機し、電話対応や出勤など状況に応じた対応をします。コールを受けて出勤する場合もありますが、しない場合もあります。職場によっては、オンコール対応専用の携帯電話を持つケースもあります。
看護師のオンコールの特徴はこちら
オンコール手当の種類・相場はこちら
オンコールがある看護師の主な職場
・介護施設(老人ホームなど入居型の施設)
・オペ室
・産科病棟
・訪問診療 など
オンコールが必要とされる主な職場として、上記の種類があります。
急変時の駆けつけ、体調不良時の電話相談などが多い訪問看護ステーション。また、介護施設の場合は急変時対応や介護職員への指示、看取り対応があります。オペ室は緊急オペの介助や後片付け、産科病棟では分娩の対応を行います。
さらに、訪問診療においてもオンコールが導入されているケースが多いです。ただし、訪問診療の場合、初期対応は看護師が行いますが、出動が必要な場合は医師が対応することがほとんど。そのため、訪問診療で緊急出動をするケースは少なめといえます。
これらの部署では、24時間体制で患者さまや利用者さまの急変に対応する必要があるため、オンコールが導入されている場合が多いです。
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看護師のオンコール勤務の特徴
看護師のオンコール勤務は、職場ごとに内容や体制、回数などの条件が異なります。そのため、詳しくはそれぞれの職場の規定や、求人情報に記載されている内容をチェックしましょう。
オンコールの内容
内容 | 電話対応のみ | 患者さまやご家族からの体調不良の相談など、電話のみで対処できると判断されるとき |
---|---|---|
緊急時の出動 | 急変や急患、分娩など、電話の内容から出勤が必要と判断されるとき | |
場所 | 自宅待機 | 自宅での待機が許可されているとき |
事業所待機 | 勤務先から事業所での待機を指示されているとき |
看護師のオンコールの主な内容は、上記の通りです。
実際にオンコールがあった場合、電話対応のみで完結するケースもあり、必ずしも出動が必須とは限りません。その時の状況に応じて出勤を行い、電話対応の内容から出勤が必要と判断される場合には出勤します。
また「待機」といっても、職場によって自宅で待機する場合と事業所などの職場で待機する場合があります。待機していてもコールがなく、対応が発生しないこともあります。
オンコールの当番制・体制
看護師1人の当番制 | 当番制で看護師1人ずつオンコールにあたる |
---|---|
看護師2人以上のチーム制 | メインスタッフとサブスタッフの2人以上が チームとしてオンコール対応にあたる |
オンコールは一般的に当番制で、その職場で働く看護師が順番に対応します。
職場によっては、1日を看護師1人で当番制にしている場合や、メインスタッフとサブスタッフなど2人以上のチーム制をとっている場合もあります。
オンコールの体制については、職場によって異なるため、オンコール勤務がある職場の場合は事前に確認しておきましょう。
オンコールの回数目安
訪問看護 | 月5~9回ほど |
---|---|
介護施設 | 月5~10回ほど |
病院(オペ室) | 月2~4回ほど |
オンコールの回数は職場や部署によって異なりますが、一般的には月に数回程度が多いです。回数はオンコールの当番制の形式や、職場で働くスタッフの人数によっても変わります。
たとえば、訪問看護ステーションや介護施設など看護師の数が少ない職場や、1回のオンコールを2人以上で行う職場は、1カ月あたりの回数が多い傾向です。
病院のオペ室では、夜間などで緊急手術が行われる際にオンコールが発生する場合があります。
なお病院の場合、所属部署によってオンコールの有無そのものが異なります。たとえば、外来は緊急外来を除いてほとんどが日勤のみですが、病棟勤務のケースでは日勤と夜勤をシフト制で担当します。病院勤務を希望する場合は、オンコールの有無だけでなく、夜勤を含めた勤務体制を確認することがおすすめです。
オンコール手当の種類・相場は?
オンコールに対する手当は、実は支給方法や金額も職場ごとに異なっています。どんな種類があるか以下で詳しく見てみましょう。
オンコール手当の種類
・実働に対する手当
職場によって、「待機のみ」でも手当が支給される場合と、「実際に出勤した分のみ」に手当が支給される場合があります。
また、「オンコール1回につき手当◯円」や「1カ月につきオンコール手当◯円」など、支給方法もさまざまです。職場によっては出勤対応がない限り、手当が出ないというところもあります。
オンコール手当の相場
オンコール手当の相場もさまざまで、職場の規定により大きく異なります。
一般社団法人 全国訪問看護事業協会の調査では、オンコールの待機手当で最も多い回答が1,000〜2,000円未満の34.2%、次いで2,000〜3,000円未満の31.0%という結果が出ています。
しかし、実際のオンコール手当の金額は、法人の種類や働く地域、訪問看護や介護施設などの施設形態によってさまざまです。さらに、オンコール対応の日が平日であるか、土日祝日であるかによって変わる場合もあります。
オンコール手当の金額の目安が知りたい場合は、求人情報を見たり、転職サポートのコンサルタントに確認したりするとよいでしょう。
参考:一般社団法人 全国訪問看護事業協会「平成 27 年度 全国訪問看護事業協会研究事業 訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業 報告書」
オンコール勤務のときはどう過ごす?【看護師向け】
・30分で出勤できる場所で過ごす
・飲酒はしない
オンコール勤務の日は、すぐに電話に出られる状態で待機しましょう。コールがあってもつながらない、とならないよう、バッテリーの残量や電波状況は事前に確認しておきましょう。自宅で待機する場合は普段通り自由に過ごしつつ、必要時はすぐに出勤できる準備をしておくとスムーズです。待機場所の制限がない場合でも、職場への出勤が30分圏内の場所で行動しましょう。
また、飲酒は重要な判断を迫られたときの判断力が鈍ったり、出勤が発生した場合に運転ができなくなったりするため避けておくのが無難です。
オンコールに備えて寝ないで待機する人にも中にはいると思いますが、体調を整えるために夜間も普段通り睡眠をとりましょう。ただし、オンコールにすぐ出られるよう電話を枕元に置き、着信音が鳴る状態にしてから入眠するのが安心です。
オンコールがある職場で働くメリット・デメリット
オンコールがある職場で働くメリット | オンコールがある職場で働くデメリット |
---|---|
・手当がある職場では収入アップを目指せる ・緊急時の対応力が磨かれる ・夜勤よりも行動が制限されにくい |
・精神的・体力的負担を感じやすい ・事業所待機の場合は行動の制限が大きい |
オンコールがある職場で働くのは、メリットもデメリットもあります。人によってメリット・デメリットの考えは人それぞれなので、よく検討しましょう。
オンコールがある職場で働くメリット
・緊急時の対応力が磨かれる
・夜勤よりも行動が制限されにくい
オンコールがある職場で働く最大のメリットは収入面です。待機のみでもオンコール手当を支給している職場もあるため、収入アップが見込めます。
また、緊急時の対応力が求められるため、迅速な判断力や専門知識が自然と身につき、スキルの向上にもつながります。自宅で待機できる職場なら、一部行動制限はあるものの、その範囲内で自由に過ごせるというのもメリットです。
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オンコールがある職場で働くデメリット
・事業所待機の場合は行動の制限が大きい
デメリットとして、待機中は緊急対応に備えてすぐに動く必要があるため、精神的な負担を感じやすいことがあげられます。オンコール中は自由な時間が制限されるため、プライベートの時間を確保しにくいと感じる人もいるようです。
また、緊急時には迅速な対応が求められるので、大きなプレッシャーになることもあります。職場によっては自宅での待機よりも制限が大きい事業所での待機を指示される場合もあり、より負担に感じる人もいるでしょう。
オンコールがある職場で働くときのポイント
事前確認のポイント |
---|
・オンコールの体制(当番制)の形式 ・オンコールの内容 ・オンコール手当の支給要件 ・オンコール勤務時のルール、行動制限 など |
オンコールがある職場で働く場合は、どんなオンコールの体制(当番制)をとっているか事前に確認しましょう。
また、実際にオンコールが発生した場合にどんな対応を行うのか、オンコールの内容も確認しておくとよいでしょう。訪問看護の場合、事業所によってオンコールの内容はさまざまです。ご家族からの電話や服薬に関する問い合わせが中心のケースもあれば、お看取りがほとんどというケースも。
オンコールの内容を事前に把握しておけば、オンコール対応のハードルが下がったり、選考前の段階で対応力やスキルの判断ができたり、多くのメリットがあります。
さらに、手当の支給要件やオンコール勤務時のルール・行動制限などの確認も必要です。
知りたい情報を事前に確認した上で、自分にとって負担なく働ける職場かどうかを検討しましょう。もしオンコールが負担だと感じる場合には、オンコール対応のない職場がおすすめです。
オンコール勤務や手当に関するQ&A
オンコールや手当に関して、看護師からよく聞かれる質問を以下にまとめました。オンコールがある職場に興味がある方はぜひ参考にしてください。
Q.オンコールと夜勤の違いは?
夜勤は、夜間に実際に勤務することを指し、シフトに入っている間は常に病院など職場で業務にあたっている状態です。一方で、オンコールは待機業務であり、自宅や指定された場所で待機します。コールがない限り自由に過ごし、コールがあった場合に必要に応じて電話対応や出勤をします。
Q.オンコール勤務をしても手当がつかない場合はある?
基本的にオンコール勤務は手当がつきますが、職場によっては手当制度がなかったり、手当の条件が決まっている場合もあります。オンコールは労働時間に含まれないため違法ではありません。待機中に実際の出勤が発生しなかった場合には、職場の規定によって手当が支払われないケースがあります。
Q.オンコール勤務がある職場の魅力・やりがいは?
呼び出しは緊急対応が求められる場合が多いため、スキルアップの機会につながります。対応や処置へのスピードや正確さが求められるため、看護師としての経験値を大幅に向上できるでしょう。困難にうまく対処できたとき、大きなやりがいを感じられます。
オンコールの条件は必ず職場に確認しましょう
オンコールは、緊急時に備えて待機する大切な業務です。すぐ電話に出られるよう注意するなど、気を付ける点はいろいろありますが、手当がつく職場は多く、出勤することになればその分給料もアップします。
また、緊急性の高い対応を経験する貴重なチャンスでもあります。オンコールの条件は職場によってさまざまです。もし今の職場のオンコール条件に不満があるなら、転職を検討するのもよいでしょう。
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ナースステップは
「なぜ転職するのか」の理由を
明確にするところから一緒に考えます。
看護師の転職に悩んだら
まずはナースステップにご相談ください!