看護師の夜勤手当の相場は?割増賃金との違いや自分に合う職場を見つけるコツ
記事掲載日:2024/12/13
看護師の手当の中には「夜勤手当」があります。夜勤手当の額は、職場によって異なります。ここでは、夜勤手当とはなにか、夜勤手当の相場や手当のつく職場で働くメリット・デメリットなどについて紹介します。看護師の夜勤手当の相場に対して自分の職場がどのくらいなのか気になる、という方はぜひチェックしてください。
- 夜勤手当とは?
- 夜勤手当と深夜手当・時間外手当の違い
- 看護師の夜勤手当の相場は?
- 看護師の夜勤手当支給額の違い
- 看護師が夜勤手当のつく職場で働くメリット
- 看護師が夜勤手当のつく職場で働くデメリット
- 夜勤がある職場・ない職場【看護師向け】
- 看護師の夜勤手当に関するQ&A
- 夜勤手当に不満なら職場を変えるのもひとつの手段
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夜勤手当とは?
夜勤手当とは、夜間に勤務する労働者に対して職場が支給する任意の賃金のことです。法律上の規定はないため、夜勤手当の計算方法や支給額は、働く職場ごとによって異なります。看護師の場合は、夜勤1回あたりの金額が決められていることが多い傾向です。詳しく知りたい場合は、自分の職場の就業規則など規程をチェックしましょう。
看護師の夜勤手当の相場はこちら
看護師の夜勤手当支給額の違いはこちら
夜勤手当と深夜手当・時間外手当の違い
夜勤手当 | 深夜手当 | 時間外手当 | |
---|---|---|---|
根拠法 | なし | 労働基準法 | 労働基準法 |
対象時間 | 職場による | 22時~翌朝5時 | 法定労働時間を超えた時間 |
支給金額 | 職場による | 日中の25%増 | 1時間あたりの賃金額×時間外労働をした時間×割増賃金率(25%) |
手当には、夜勤手当の他に深夜手当(割増賃金)や時間外手当などもあります。夜勤手当は企業ごとに任意で定められるもので、根拠となる法律はありません。それに対して、深夜手当と時間外手当は労働基準法によって支給が義務付けられているものであり、支給金額の計算方法も決められています。
深夜手当(割増賃金)
深夜手当は、22時から翌朝5時までの間に働いた場合に支給される割増賃金のことです。深夜手当は労働基準法で定められており、基本賃金の25%以上が手当として支給され、25%を下回る場合は違法とされます。深夜手当は正規職員だけでなく、パートの職員や管理職の人なども支給対象です。
【深夜手当の計算方法】
時間外手当
時間外手当は、法定労働時間を超えて働いた場合に支給される手当のことです。通常、1日の労働時間が8時間を超えた場合や、週40時間を超えた場合に支給されるものです。
割増率は基本賃金の25%以上で、この基準は深夜手当と同様に労働基準法で定められています。時間外手当は、残業手当とも異なっており、法定労働時間を超えているかどうかで違います。
【時間外手当の計算方法】
看護師の夜勤手当の相場は?
勤務体制 | 夜勤手当平均金額(1回) | 1カ月あたりの 平均夜勤回数 |
1カ月あたりの 平均夜勤手当の合計 (※) |
---|---|---|---|
3交替制 深夜勤 | 5,199円 | 7.5回 | 約38,992円 |
3交替制 準夜勤 | 4,234円 | 約31,755円 | |
2交替制 夜勤 | 11,368円 | 4.9回 | 約55,703円 |
参考:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」
※「夜勤手当平均金額(1回)×1カ月あたりの平均夜勤回数」にて、小数点以下を切り捨てて算出
日本看護協会の調査によると、看護師の夜勤手当相場は上記のとおりです。相場は夜勤体制により異なっています。夜勤体制の種類別に見ると、1回あたりの夜勤手当は、拘束時間・勤務時間がともに長い「2交替制夜勤」が1番高額です。
一般的に、夜勤手当は法律的な決まりがないため、企業ごとに支給されるかどうか決まります。ただ、看護師の場合はほとんどの職場で夜勤手当がつくことが多いでしょう。
看護師の夜勤手当の支給状況について
夜勤手当の支給状況 | 割合 |
---|---|
割増賃金のみで支給 | 3.9% |
割増賃金と別に定額の夜勤手当を支給 | 31.3% |
割増賃金を含む定額の夜勤手当を支給 | 51.0% |
参考:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」
日本看護協会の調査によると、看護師の夜勤手当は「割増賃金を含む金額」で支給している職場が半数以上に上りました。割増賃金とは別に定額で夜勤手当を設定している職場も3割あります。8割以上が夜勤手当を支給していることから、看護師は夜勤手当が比較的支給してもらいやすいことがわかります。
看護師の夜勤手当支給額の違い
看護師の夜勤手当支給額は、職場の設置主体や病床規模、地域などの要素によって傾向があります。データを用いて、設置主体、病床規模、地域ごとの平均額や相場について紹介します。
【設置主体別】看護師の夜勤手当相場
設置主体 | 3交替制(準夜勤) 1回あたり(円) |
3交替制(深夜勤) 1回あたり(円) |
2交替制(夜勤) 1回あたり |
---|---|---|---|
国立 | 3,354 | 4,194 | 8,527 |
公立 | 3,603 | 4,189 | 8,213 |
日本赤十字社 | 2,172 | 3,818 | 5,600 |
済生会 | 4,038 | 4,772 | 10,147 |
厚生連 | 3,973 | 4,711 | 8,431 |
その他公的医療機関 | 5,000 | 7,000 | 7,733 |
社会保険関係団体 | 3,360 | 3,640 | 6,871 |
公益法人 | 4,568 | 5,585 | 11,639 |
私立学校法人 | 3,413 | 3,938 | 8,164 |
医療法人 | 5,275 | 6,533 | 12,764 |
社会福祉法人 | 3,812 | 5,325 | 10,408 |
医療生協 | 5,310 | 6,651 | 10,915 |
会社 | - | - | 11,293 |
その他法人 | 4,733 | 5,632 | 11,282 |
個人 | - | - | 12,500 |
無回答・不明 | 5,008 | 10,977 | 12,937 |
参考:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」統計表44、47、50をもとに作成
2交替制夜勤で見てみると、とくに夜勤手当が高く、平均が11,000円を超えているのは医療法人、公益法人、個人、会社、その他法人となっています。次いで医療生協、済生会、社会福祉法人も10,000円を超え、高めの傾向と言えます。
一方、3交替制はばらつきはありますが、2交替制ほど設置主体による手当の差は見られません。拘束時間が比較的長い分、2交替制は手当が配慮されていることがわかります。
【病床規模別】看護師の夜勤手当相場
病床規模 | 3交替制(準夜勤) 1回あたり(円) |
3交替制(深夜勤) 1回あたり(円) |
2交替制(夜勤) 1回あたり(円) |
---|---|---|---|
99床以下 | 4,577 | 5,640 | 11,998 |
100~199床 | 4,523 | 5,734 | 11,993 |
200~299床 | 4,244 | 5,112 | 11,141 |
300~399床 | 3,866 | 4,637 | 10,342 |
400~499床 | 3,892 | 4,684 | 9,858 |
500床以上 | 3,753 | 4,443 | 9,002 |
無回答・不明 | - | - | - |
参考:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」統計表45、48、51をもとに作成
夜勤手当は、病床規模が小さい施設ほど高くなる傾向があります。2交替制夜勤の場合、最も高いものは1回あたり11,998円、最も安いものが9,002円で、その差は2,996円です。3交替制準夜勤では最も高いものと低いものの差は824円、深夜勤では1,291円でした。
病床数が少ない施設ほど人材を確保するために夜勤手当を充実させていると考えられます。また、病床規模の小さい病院の設置主体には、個人や会社、その他法人などが多いことも考えられます。
【地域別】看護師の夜勤手当相場
都道府県(上位3地域) | 3交替制(準夜勤) 1回あたり(円) |
3交替制(深夜勤) 1回あたり(円) |
2交替制(夜勤) 1回あたり(円) |
---|---|---|---|
1位:東京都 | 5,792 | 7,120 | 13,192 |
2位:奈良県 | 6,125 | 7,425 | 12,410 |
3位:茨城県 | 5,333 | 6,222 | 12,931 |
都道府県(下位3地域) | 3交替制(準夜勤) 1回あたり(円) |
3交替制(深夜勤) 1回あたり(円) |
2交替制(夜勤) 1回あたり(円) |
---|---|---|---|
45位:山形県 | 3,267 | 3,677 | 9,002 |
46位:新潟県 | 3,290 | 3,985 | 8,640 |
47位:岩手県 | 3,581 | 4,164 | 7,669 |
参考:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」統計表46、49、52をもとに各都道府県の2・3交替制を合算した夜勤手当の平均を算出して作成
上記は、都道府県別で見た看護師の夜勤手当平均額の上位と下位それぞれ3地域です。看護師の平均夜勤手当は地域による差が大きく、とくに都市部で高額の傾向にあります。
反対に、地方では安い傾向があり、その差は2交代制夜勤では5,523円。要因として、人口の多い都市部では看護師の需要が高いこと、専門性の高い医療を提供している施設が多いことがあげられます。地方よりも生活にかかる費用が多いため、そもそも基本給が高いことも一因のようです。
看護師が夜勤手当のつく職場で働くメリット
看護師が夜勤手当のつく職場で働くのはメリットがあります。具体的にどんなメリットがあるか見てみましょう。
夜勤手当が上乗せされて高収入を目指せる
夜勤手当は基本給に加えて支給される手当なので、その分総収入が増えることが大きなメリットです。看護師の夜勤手当は、「1回につき◯円」の形で支給されるため、夜勤回数が多いほど手当の額も比例して増えます。高収入を目指している看護師は、夜勤のある職場がおすすめです。
夜勤明け翌日に連休を取りやすい
夜勤明けは通常、翌日が休みとなることが多いので、連休を取りやすいというメリットがあります。さらに希望休をつなげれば、プライベートの時間をより長く確保しやすくなり、リフレッシュする機会が増えます。夜勤のある職場は、日中の時間を有効活用したい看護師や、仕事とプライベートのバランスを取りたい看護師にメリットが大きいでしょう。
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スキルアップを目指しやすい
看護師の場合、夜勤のシフトでは限られた人数でさまざまな業務に対応しなければなりません。たとえば、時間外の緊急入院や夜間の急変などの対応は、状況に応じた実践的なスキルを磨く良い機会です。看護師として臨機応変な対応力を磨き、スキルアップを目指したい場合にはメリットとなるでしょう。
看護師が夜勤手当のつく職場で働くデメリット
手当がつく分、人によってはデメリットといえるところもあります。どんなデメリットがあるかを知り、職場選びに役立てましょう。
精神的・体力的負担が大きい
夜勤は昼夜逆転の生活を強いられるため、体内リズムが乱れやすくなります。交替制勤務の場合、とくに日勤と夜勤の繰り返しとなるためバランスを取るのが難しいでしょう。夜勤のあるシフトは睡眠不足や疲労が蓄積しやすく、体力的な負担が大きくなりがちです。また、夜勤中に緊急対応が発生した場合には精神的なストレスも高まりやすい傾向にあります。
友人や家族と予定を合わせにくい
夜勤をしていると昼間に休息を取る必要があるため、活動する時間がずれて友人や家族との時間を確保するのが難しくなる問題があります。また、週末や祝日など、みんなが休むタイミングで働くことが多い分、プライベートの予定が立てにくいです。プライベートの時間が取りやすい反面、周りと予定を合わせたい人の場合はやや不向きでしょう。
患者さまと関わる機会が少ない
夜勤中は患者さまが寝ていることがほとんどなので、日中に比べて関わる機会が少ないです。患者さまとのコミュニケーションが減る分、人によっては看護師としてのやりがいや満足感が低下する可能性があります。患者さまとじっくり時間をかけて関わりたい場合には、夜勤はあまり向かないかもしれません。
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夜勤がある職場・ない職場【看護師向け】
夜勤がある看護師の主な職場 | 夜勤がない看護師の主な職場 |
---|---|
・病院(病棟勤務) ・介護施設(介護老人保健施設など) |
・病院(外来勤務) ・訪問看護 ・クリニック ・介護施設(デイサービスなど) |
看護師の職場には夜勤があるところとないところがありますが、それぞれ代表的な職場をあげると上記のとおりです。夜勤に向いている人も向いていない人も、自分に合った職場を探すための参考にしてください。
夜勤がある看護師の主な職場
・介護施設(介護老人保健施設など)
夜勤がある看護師の職場は主に上記の2種類です。病院の病棟では、24時間体制で患者さまのケアを行う必要があるため、夜勤が発生します。なかでも急性期病棟では、緊急対応が頻繁に発生するため、スピーディーな判断力と高いストレス耐性が求められます。また、ご入居者さまが宿泊や生活を行っている介護施設で働く場合にも、夜間の対応が必要となるため夜勤が発生します。
【夜勤ありの職場はこんな看護師におすすめ】
・お金をたくさん稼ぎたい人
・スキルアップを目指している人
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夜勤がない看護師の主な職場
・訪問看護
・クリニック
・介護施設(デイサービス)
上記の職場は、基本的に日勤のみで働ける主な職場です。病院に勤務している場合で日勤のみの勤務を希望する場合には、外来に異動できるか希望を相談してみましょう。訪問看護はクリニックや介護施設に比べて比較的収入が高めで、かつ在宅医療のキャリアを磨きやすい特徴があります。一方、患者さまのご自宅を訪問してケアを行うため、一人ひとりに寄り添った看護が可能な職場です。
【夜勤なしの職場はこんな看護師におすすめ】
・家族や友人と予定を合わせたい人
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看護師の夜勤手当に関するQ&A
夜勤手当に関して、看護師の方からよく受ける質問を以下にまとめています。ぜひ参考にしてください。
Q.夜勤手当の支給額は職場ごとに違う?
夜勤手当の支給額は、職場の設置主体や病床規模、地域によって変わります。一般的に、地方の医療機関よりも都市部の医療機関の方が高く、小規模な医療機関よりも規模の大きな医療機関の方が高い傾向にあります。また、深夜の割増賃金とは別に定額の夜勤手当を設けている医療機関などもあります。
Q.夜勤手当と宿直手当・日直手当の違いは?
宿直手当 |
業務時間外の夜間および宿泊を伴って職場で待機する業務に対して支払われる手当。 1人1日平均賃金の3分の1に相当する額だが22時~翌5時の分は25%の割増賃金が必要。 |
---|---|
日直手当 | 業務時間外の日中に職場で待機する業務に対して支払われる手当。 1人1日平均賃金の3分の1に相当する額。 |
宿直手当は、通常の勤務時間外のうち、夜間に職場で待機する業務に対して支給される手当です。一方、日直手当は通常の勤務時間外のうち、日中に待機する業務を行う際に支給される手当のことをいいます。宿直と日直を総括して「当直」と呼びます。
夜勤手当に不満なら職場を変えるのもひとつの手段
夜勤手当は法律で規定がない分、職場によって金額が大きく異なります。看護師は年収に占める夜勤手当の割合が大きく、1回あたりの手当の差が大きく開くこともあります。おおまかな傾向はありつつ、どの職場の夜勤手当がいくらなのかは確認してみないとわかりません。相場より低いと感じたら、転職を検討するのもよいでしょう。
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ナースステップは
「なぜ転職するのか」の理由を
明確にするところから一緒に考えます。
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