看護師は残業が多い?原因や残業を減らす方法を解説
記事掲載日:2020/08/28
「残業が多くて毎日疲れがとれない」「働いている病院の残業時間は平均より多いの?少ないの?」と悩んでいませんか?
この記事では、看護師の平均残業時間、残業が多い理由、残業を減らす方法などをご紹介します。
看護師の残業は平均で何時間?
看護師の平均的な残業はどのくらいなのでしょうか?日本看護協会の「2019年 病院および有床診療所における看護実態調査報告書」によると、次のような結果が出ています。
看護師の1ヶ月の残業時間
- ・0時間:5.4%
- ・5時間未満:49.0%
- ・5-10時間未満:26.7%
- ・10-20時間未満:13.9%
- ・20時間以上:0.9%
全体の9割以上が「残業がある」と回答し、最も多いのは5時間未満で49%でした。残業があると回答した中では10時間未満が大半を占めますが、中には20時間以上残業をしている看護師もおり、働く環境によって残業時間に幅があることがわかります。
▼参考資料はコチラ
日本看護協会「2019年 病院および有床診療所における看護実態調査報告書」
院、科、部署によって残業の多さは異なる
看護師の残業が多いか少ないかは、働く職場によって大きく異なります。緊急入院が多い病院、患者さまの急変が起こりやすい診療科、手術室など突発的な対応が多くなる職場では残業が多くなりがちです。
重症患者が搬送されることが多い大学病院、急病患者が運ばれてくることが多い総合病院はとくに残業が多くなる傾向があります。また、急変が起こりやすい循環器科、手術件数の多い整形外科、予測不可能な出産に対応する産婦人科などは残業が多くなりやすい診療科です。
残業が多い部署としては、一般病棟、手術室、外来です。救急対応をしている病院では救急車の搬入台数が多い場合や入退院が多いときには残業が多くなります。また、手術室でオペ介助をする場合には手術時間が想定よりも長引くことがあるため、残業が多くなってしまうことがあるのです。大きな病院の外来では、決まっている診療時間を大幅に超えて診察を行うこともあるので、残業が発生しやすい部署です。
看護師の残業が多くなる原因
では、なぜここまで看護師の残業が多くなってしまうのでしょうか。次に、看護師の残業が多くなる原因について解説します。
交代制の勤務形態
入院施設のある病院では2交代制や3交代制で勤務します。そのため、交代の際には日勤から夜勤の担当者へ、夜勤から日勤の担当者への引き継ぎが必要となり、始業時間前や就業時間後の時間外労働が生じてしまいがちです。
看護記録の作成・入力業務
看護師は看護記録をはじめカルテのチェックや看護計画の作成、研修レポートの作成などあらゆる書類業務をこなしています。それらを患者対応と並行してこなせるのが理想ですが、勤務時間内に看護記録の作成やデータの入力が終わらないことが多いのも実情です。勤務時間後に記録業務をするという職場も多く、残業時間が多くなってしまいます。
急患対応
救急対応をしている病院では診療時間外でも急患対応をすることになります。急遽入院をする必要が出てくれば、患者さまやご家族へのヒアリングなどの業務が発生し、残業が増えてしまうのです。
ナースコール対応
勤務時間が終了していても、その場にいてナースコールが鳴れば対応する必要があり、残業につながってしまいます。
手術の準備・サポート
入院している患者さまや急患に緊急手術が必要になった場合には、手術の準備やサポートをする必要があります。普段の業務に加えてそれらの業務が発生することになり、残業につながってしまうケースもあります。
院内研修・勉強会への参加
病院内で行われる勉強会や研修会は勤務時間外に行われることも多く、その場合は残業して出席することになります。実質強制参加のような形であっても、自主的な参加とみなされ残業代が支払われないケースもあるようです。こういったケースはサービス残業にあたります。
慢性的な人員不足
看護師が働く医療現場は、慢性的な人手不足に陥っています。ただでさえ多忙な看護師ですが、人手不足が深刻になると一人あたりの担当する患者数が増え、業務時間内に全ての業務を終わらせられない事態へとつながります。
看護師が残業を減らすためにできる5つのこと
では、多くなってしまいがちな残業を減らすことはできるのでしょうか。ここでは、看護師が残業を減らすためにできる工夫を5つご紹介します。
1. 業務改善を試みる
残業時間を減らすために、まずは自身の業務を振り返り、効率が悪い場面はないか考えてみましょう。1つ1つの業務も、時間管理を徹底することで残業時間の削減につながります。とくに新人看護師は看護技術やスキル不足で業務に時間がかかりがちになるため、注射、点滴などの基本的な技術を素早くできるようにしてみましょう。
2. 効率の良い先輩を真似する
効率が良くテキパキとしていて、残業時間が少ない先輩がいた場合には、その先輩の働き方に注目してみましょう。日々の業務をもっと効率的に行う方法や、残業を減らすヒントが得られるかもしれません。実践できることがあれば真似して、ご自身の業務にも活かしましょう。
3. ほかの看護師と協力する
一人で業務を抱え込みすぎてパンクしそうになったら、時にはほかの看護師にヘルプを求めることも重要です。ただし、ほかの看護師も自分と同じく多忙であることを忘れてはいけません。手伝ってもらった際には、しっかりと感謝を伝えるようにしましょう。
4. 看護主任など現場のリーダーに相談する
看護主任や先輩など、頼れる人が周りにいる場合には、残業についての悩みを打ち明け、相談してみましょう。残業が減らない背景には、病院のシステムそのものが関与している場合も少なくありません。そういった場合には決定権限のある上司に相談することで、根本的な解決につながる可能性があります。
5. 残業の少ない職場に転職する
自分自身の業務改善やリーダーへの相談などを実践しても残業が減らない場合には、残業の少ない職場に転職を検討することも必要です。入院施設のないクリニックやデイケアなどは夜勤がなく、急患対応もほぼないため、比較的残業が少なくなっています。
残業の多い看護師が転職を考えるべき際のチェックポイント
今働いている職場がブラックかどうか、転職が必要かどうかを判断する材料として、下記のチェックポイントを確認しましょう。
残業代が十分に支給されていない
「サービス残業が多い」「残業代をもらえない」といった、残業代の問題で悩んでいる看護師は多いかもしれません。病院から命令された場合や残業せざるを得ない場合には労働時間とみなされ、残業代を請求できます。タイムカードや業務日報、シフト表など残業を証明できる資料があれば、病院に残業代支払い請求を行うことが可能です。
残業時間が月30時間を超えている
厚生労働省が定める過労死ラインによると、月の残業が80時間を超えると過労死の可能性が高まるとされていますが、夜勤のある看護師の過労死ラインはもっと低いと考えられます。残業時間が過労死ラインに近い、または超えている場合はブラック病院と言えます。
職場がワークライフバランスへの取り組みに積極的でない
残業が多くなる原因である人員不足を解消しようとしない、休みがもらえない、夜勤日数が多すぎるなどワークライフバランスの取り組みに積極的でない職場は危険です。改善が見られないようであれば、早めに転職することをおすすめします。
まとめ
「看護師の残業がどのくらいなのか」「残業が多い原因や減らす方法」「転職を考えるべきチェックポイント」をご紹介しました。病院の規模が大きくなるほど突発的な残業が発生しがちで、勉強会や委員会などのために残業することが増えてしまいます。残業が多くてつらい場合には、訪問時間の決まっている訪問看護や、急変の少ない有料老人ホームなどの施設への転職がおすすめです。
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