クリニック看護師のお給料の相場は?病棟勤務との差はどのくらい?
記事掲載日:2021/08/06
結婚や出産などによるライフステージの変化や夜勤勤務に対するストレスなどが理由でクリニックへ転職したいと考えたことが一度はあるのではないでしょうか。
また、クリニック勤務は病棟勤務に比べて体力的な負荷が少なく、仕事とプライベートも両立でき、充実した日々を過ごせそうなイメージがあります。ですが、「お給料が大幅に下がるのでは...? 」という懸念を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、病棟看護師とクリニック看護師のお給料について、詳しく解説していきます。併せて、クリニック看護師として働くメリットやデメリット、良質なクリニック求人の探し方などもご紹介します。
- クリニック看護師のお給料の相場
- クリニック看護師と病棟看護師のお給料の差
- クリニック看護師のお給料の決まり方
- クリニックで看護師として働くメリットや注意点
- クリニック看護師のお給料が高い求人の見つけ方
- まとめ
クリニック看護師のお給料の相場
厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調の報告(令和元年実施)」によると、一般診療所(クリニック)の看護職員の平均年収は約391万円(平均給料+賞与)と記されています。内訳は、額面で平均給料が約324万円、賞与が約67万円です。純粋に平均給与を12ヶ月で割ると、月給は約27万円ということになります。
クリニックの社会保険に加入していると、実際の月の手取りはそれよりも数万円低くなる計算です。もし社会保険に加入していない小規模(従業員5名以下)のクリニックの場合、毎月自分で国民年金保険料(2021年度:1万6,610円)や国民健康保険料(所得により支払い金額は異なる)などの保険料を支払う必要がありますので、手取りから数万円は捻出しなくてはなりません。
▼参考記事はコチラ 第22回医療経済実態調の報告(令和元年実施)
クリニック看護師と病棟看護師のお給料の差
では、病棟看護師のお給料との差はどのくらいあるのでしょうか。上記の「第22回医療経済実態調の報告(令和元年実施)」では、一般病院に勤務する看護師の平均年収は507万円(平均給料+賞与)とされています。内訳は、平均給料が405万円、賞与が101万円となっており、クリニック看護師の平均年収よりも100万円以上高い結果になりました。
お給料に100万円以上差が出る理由は、一般病院には入院病棟があるため夜勤が発生し、夜勤手当が発生するからだと考えられます。また残業手当、通勤手当、休日出勤手当などの諸手当も手厚く、こうした積み重ねが年間100万円以上の年収の差を生み出していると言えます。
クリニック看護師のお給料の決まり方
病棟看護師と比較するとクリニック看護師の平均年収が少ないことは前述のとおりですが、クリニック看護師にもお給料をアップさせる方法は残っています。
そもそもクリニック看護師のお給料は、経験年数や資格(准看護師よりも正看護師)、学歴(看護学校よりも大学)、スキルや役職などの要素によって決まることが多いです。
経験年数や学歴、役職などを自分の力で変えることは難しいですが、スキルや資格であれば今からでも磨けます。例えば、看護のスペシャリストである「認定看護師」や、介護を必要とする患者さまを支援する「ケアマネージャー」などの資格を取得することで、お給料アップはもちろん、転職の際にも有利に働きやすくなります。
クリニックで看護師として働くメリットや注意点
たとえお給料が下がっても、クリニックで看護師として勤務することには大きなメリットがあります。一方で、お給料面以外でのデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
クリニック看護師として働くメリット
まず、病棟とは異なり、夜勤が発生しないクリニックがほとんどなので、体力的な負担が少ないことが挙げられます。生活リズムも整い、規則正しい生活を送ることが出来ます。
次に、クリニックの休診日と日曜日は仕事を休めて、残業も発生しづらいため、家族や友人たちとの時間を大事に出来ます。仕事とプライベートを両立できる点がクリニック看護師として働く大きなメリットのひとつだと言えます。
また、クリニックのスタッフや患者さまは地域住民がほとんどなので、地域の「顔」として活躍し、貢献できることもクリニック看護師の大きなやりがいとしていえるでしょう。
クリニック看護師として働く注意点
クリニックは少人数のスタッフで働くことがほとんどです。そのため、一人ひとりの業務が多岐に渡り、掃除や受付など、本来の看護師業務とは異なる雑務も担当する可能性があります。
また、数名の看護師でシフトを組んでいるため、急な休みや有休がとりづらい点もクリニック看護師のデメリットのひとつです。一人でも欠員が出ると業務に大きな支障を生じかねないので、自分の体調管理はもちろんですが、小さなお子さんがいる場合は子どもの体調にも気をつけないといけません。
さらには、スタッフが少なく距離が近いため、人によっては人間関係が煩わしく感じることもデメリットと言えるでしょう。人間関係で何か問題があった時は逃げづらいことも事実です。特に院長が独特のポリシーを持ってクリニックを運営している場合は、院長との相性が最重要となります。
また、クリニック勤務は病棟勤務に比べて緊張感が少ないため、「やりがいがない」「物足りない」と感じてしまう看護師もいらっしゃるようです。
クリニック看護師のお給料が高い求人の見つけ方
クリニック看護師のお給料の決まり方については前述で説明してきましたが、転職してなるべく収入を下げないためには、お給料の高いクリニック求人を見極めることが重要です。
求人を見る際のポイントをいくつかご紹介します。
基本給
まず、求人の「基本給」をチェックしましょう。クリニック看護師の平均年収が約391万円、平均月収が<27万円なので、年収420万円以上、基本給30万円以上の求人であれば、クリニック看護師の平均相場よりも高いお給料が期待できそうです(賞与が年に2回×各1ヶ月分=60万円として計算)。
通勤手当
通勤手当も重要です。クリニック看護師は自宅近くのクリニックで勤務する傾向が多いですが、普段は自転車で通っていても雨天時などは交通機関を利用して通勤することもあります。そのため、交通費を全額負担してくれるクリニックで働くことで、結果的に給料アップにつながります。
残業代・昇給制度
そのほか、残業代、昇給制度の有無についても求人で確認をしましょう。クリニックの残業は少ないとされていますが、季節や曜日、科によっては残業が頻繁に発生することもあります。クリニック求人の中には「15分単位」などで残業代が発生するクリニックもあるので、残業手当ありの求人をチェックしてください。
昇給制度については、例えば毎年昇給する制度を導入しているクリニックで働けば、勤務年数に比例して着実に毎月のお給料が上がっていきます。今すぐのお給料アップではないかもしれませんが、長い目で見てお給料アップにつながります。
求人を探す時間がない...そんな場合は、看護師に特化した転職エージェントに登録し、希望条件を伝えておくことも非常に有効です。希望条件に合った求人が発生した場合、優先的に紹介してくれる可能性が高いです。
まとめ
病棟看護師とクリニック看護師の平均年収には100万円以上もの差があり、病棟からクリニックに転職した場合はお給料が下がる可能性は高いです。ですが、クリニック看護師でもスキルアップに励んだり、良質な求人を見極めて転職したりすることでお給料の下げ幅を最小限に抑えられます。何より、クリニック看護師のお仕事には、お金には代えられないメリットも数多くあります。
▼合わせて読みたい記事はこちら