美容看護師とは?仕事内容やお給料などを詳しく解説
記事掲載日:2021/08/06
いま看護師の新しい働き方として、美容クリニックで「美容看護師」として働くことが注目されています。一般的な看護師が病で苦しむ患者さまをサポートするのに対し、美容看護師は「美」に苦しむ、あるいは「美」を追求する患者さまをサポートするというのが大きな違いです。
サポートする対象が変わることで、その仕事内容はもちろん、お給料も一般的な看護師と大きく異なってきます。そこでこの記事では、美容看護師の仕事内容からメリット・デメリット、具体的な就業場所について、詳しくご紹介します。
美容看護師の仕事内容・役割
就業場所によって仕事内容は異なりますが、すべての美容看護師に共通している仕事が、「患者さまのカウンセリング」と「医師の診療・施術サポート」、その他接客にまつわる業務です。
カウンセリング
一般的な病棟看護師やクリニック看護師が行う患者さまへのヒアリングでは、患者さまの「病気を治したい」という目的のためであることに対し、美容看護師の場合は、患者さまの「きれいになりたい」という目的のために、カウンセリングをします。また、それに対して実際に行う施術の提案や費用感などの説明をします。
患者さまにとっては「治療を受ける」というよりも「サービスを受ける」という感覚が強いため、カウンセリングが的確でないと、クレームの対象となりやすいです。そのため、じっくりと時間をかけて患者さまの要望や悩みを潜在的なレベルから引き出すコミュニケシーション力が必要とされます。また、カウンセリングした内容を担当医師に的確に伝えるスキルも求められます。
医師の診療・施術サポート
病棟看護師や一般的なクリニック看護師同様、医師が行う診察や施術の介助を行います。美容外科においては、手術のサポートなど病院の手術室同様の業務も担います。また、手術に使用した医療器具の洗浄なども看護師が担当します。
なお、医師のサポートだけではなく、レーザー脱毛、注射、美容点滴など、患者さまに直接施術を行うことも多くあります。医師との連携のもと、二人三脚で患者さまの「きれいになりたい」を形にしていきます。
その他接客にまつわる業務
美容看護師独特の業務として、クリニックで取り扱っている「ドクターズコスメ」の営業・販売を担当することがあります。また、受付業務などを担当する場合もあります。
美容看護師として働くメリット
美容看護師が働く美容クリニックには、ほぼ入院施設を擁していないため、夜勤が発生することはまずありません。また、患者さまの診療は「予約制」がメインで、急患の患者さまもほとんどいないため、残業が発生することも少なく、基本的には定時に退勤できます。そのため、看護師でありながら、規則正しい生活が実現します。
そして、驚くべきは「お給料の高さ」です。例えば、某有名美容外科の美容看護師の月給は、臨床経験満2~3年の場合、関東エリアで35万円(研修期間中6ヶ月は32万円)に設定されています。賞与は年2回、昇給査定年1回、短期業績手当も年4回の充実ぶりです。これは、美容に関する施術は「自由診療」(医療保険非適用)であり、診療の価格はクリニック独自に決められることに加えて、患者さま一人ひとりの治療費が高額であることが関係しています。当然利益率が高いため、看護師のお給料にも反映されます。また、クリニックによってはインセンティブ(報奨金)や、指名による歩合給を導入しており、さらに美容看護師のお給料を跳ね上げています。
そのほか、美容クリニックを訪れる患者さまは、身体的な健康を害しているわけではないため、看護師としての精神的な負担が少なくてすむ、社員割引制度を導入しているクリニックでは格安で美容施術を受けられたり、取り扱っている商品を購入できたりすることや、看護師主体で関わることができることも、美容看護師ならではのメリットと言えます。
美容看護師として働く際の注意点
前述のとおり、美容看護師の主な役割は「患者さまのカウンセリング」と「医師の診療・施術サポート」であり、病院や一般的なクリニックに勤務する看護師の仕事内容と大きく異なります。つまり、医療の現場とは異なる環境であるため、本来の看護スキルの低下が懸念されます。美容看護師としての勤務期間は臨床経験年数に数えられないケースが多く、病棟看護師やクリニック看護師に復職する際には、デメリットになる可能性があります。
また、美容クリニックの中には、営業ノルマを課す場合もあります。営業スキルがある方なら実力を発揮して高収入を目指せますが、そうでない方には精神的負担になるでしょう。相手も患者さまというよりは「お客さま」であり、高額な治療費を支払っているだけに、時には謂れのないクレームを受ける場合もあります。
さらには、「美」に直結する施術を提供する場だけに、看護師自身にも美意識の高さや美に関する知識が求められます。これらの理由から、従来の看護師としてのやりがいを感じられないと思う方が多いのも事実です。
美容看護師になるための資格
美容看護師として働くためには、基本的に看護師か准看護師の資格を持っていれば、問題ありません。ただし、美容系の資格を保有していると、転職の際に有利になる可能性があります。
例えば、化粧品や美容におけるプロと証明できる「日本化粧品検定」や「エステティシャン」などの資格は、どこの美容クリニックでも応用できますし、通信講座でも取得できるため、多忙な看護師にも取得しやすい資格の一つです。
美容看護師の主な就職先
美容看護師の主な就業場所には、「美容脱毛」「美容皮膚科」「美容外科」「アートメイク」があります。それぞれの仕事内容と特徴を解説します。
美容脱毛(脱毛クリニック)
専門医師が、医療機関のみ使用を許されているレーザーを照射して脱毛を行うのが医療脱毛クリニックです。最近は男性専用の医療脱毛クリニックも増えています。
看護師は、施術前のカウンセリング、医師の外来診察介助のほか、メインの業務として患者さまのレーザー脱毛施術も行います。施術する部位によっては、クーリングなどのアフターケアも行います。
美容皮膚科
美容皮膚科では、レーザー照射による脱毛や肌質改善、アンチエイジングなどの治療を提供します。そのすべてが「肌」に焦点を当てており、患者さまの体にメスを入れない施術であるのが大きな特徴です。
美容皮膚科における看護師は、患者さまのレーザー脱毛施術をはじめ、ボトックス注射やプラセンタ点滴など、幅広い施術を自身で担当します。また、クリニックによっては肌に使用する「ドクターズコスメ」を患者さまにおすすめすることも、美容皮膚科看護師の役割のひとつです。
美容外科
整形手術や脂肪吸引など、メスを用いる外科的な治療が可能なのが美容外科です。美容皮膚科が「肌」に焦点を当てているのに対し、美容外科では「容姿全体」を施術の対象とします。もちろん、レーザー照射による脱毛など、メスを伴わない施術も並行して行います。
手術を伴うため、看護師は美容皮膚科の仕事内容に加え、医師の手術介助も担当します。患者さまが安心して手術に臨めるように、術前・術後の精神的なケアも欠かせません。
なお、美容外科の看護師は、サービスや商品を患者さまに提案することも仕事のひとつです。
▼「美容外科」の詳しい仕事内容についてはこちら 美容外科で働く看護師の仕事内容とは?メリットやデメリットも詳しく解説
アートメイク
アートメイクとは、皮膚の浅い部分に針でインクを注入して着色する美容医療のひとつです。眉毛やアイライン、リップなどに色をつけることで、メイク時間の短縮などが期待できます。近年、若い女性を中心に注目度が上昇傾向にあり、施術を導入する美容クリニックも増えています。
医師免許を持っている医師が常駐しているクリニックであれば、看護師は患者さまに直接施術を行うことができます。求人も増えており、アートメイクスクールに通い講習を受ける看護師も増加しています。
なお、スクールに通ってもアートメイク専門の資格は存在しないため、資格を取得できるわけではありません。また、「講習を受ければアートメイク看護師になれる」というわけではなく、症例数を積み、正しい知識、技術力、応用力、デザイン力を身に着けることが必要です。勤務するクリニックによって変化しますが、一般的には3ヶ月程度の試用期間を設定しているところが多いようです。
まとめ
美容に関心・興味がある方、プライベートを重視したい方にとって美容看護師は夢のような職種と言えるかもしれません。
人気職種のため求人も希少ではありますが、好条件の求人に出会えたらすぐにでも応募できるよう、常日頃から美意識を高め、情報収集しておくことをおすすめいたします。
美容看護師という職種を選ぶことで、あなたの看護師としての新しいキャリアを築き、そして美意識の更なる向上から、自身の美しさも磨かれることでしょう。