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ブランクがあっても大丈夫?看護師の復職・再就職に関する不安を解決

記事掲載日:2021/10/14

ブランクがあっても大丈夫?看護師の復職・再就職に関する不安を解決

看護師の国家資格は一生ものであり、生涯現役と言われていますが、一度ブランクを抱えてしまうとなかなか復職しづらい傾向が高いようです。事実、厚生労働省の調査では、看護師資格を保有しながら未就業の潜在看護師は71万人にものぼると言われています。

ブランクを持つ潜在看護師が復職をためらう理由はさまざまですが、その理由を解決すればまた現役看護師として前線で活躍できるはずです。

この記事では、ブランクをもつ看護師が復職までにやっておくべきことや復職をする際におすすめの医療機関などを紹介します。

看護師のブランクは何年まで復職に影響しない?

考え込む女性

結論から言うと、離職してからブランクの期間が長いという理由で復職できないことはありません。ブランクが10年以上でも看護師に復職している方は多くいます。事実として、日本看護協会の「都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査」によると、看護職従事者が離職して復職するまでの平均離職期間は31.1ヶ月ですが、60ヶ月以上で復職する方も16.9%存在します。

とくにコロナ禍においては看護師不足が深刻な課題となり、厚生労働省も潜在看護師に対して、就職準備金の支給や研修費用の補助などさまざまな復職支援を行っています。

▼参考資料はこちら
都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査

ブランクのある看護師が現場へ復帰する際に抱える不安

ブランクがある看護師たちが現場復帰をためらう理由には何が挙げられるでしょうか。理由別にその対処法を解説します。


ブランクが原因でそもそも就職できるのか不安

看護師の現場から離れて数年、知識やスキルも衰えている。医療は日々進化するものだし、果たして現場に戻れるのだろうか......。そんな不安をもつ方が多いのではないでしょうか。しかし、看護師の職業は慢性的に人手不足のため、「ブランクOK」「ブランク歓迎」といった求人も多く見られます。そうした職場であれば、ブランクに対する不安も軽減されるはずです。

仕事を覚えられるか不安

医療に関する知識やスキルは日々アップデートされます。それに対応できるかどうか自信がないため復職に踏み切れない方については、プリセプター制度(先輩看護師がマンツーマンでフォローする制度)が整っている医療機関や、前職で在籍していた科への復職が望ましいでしょう。

家事や子育てを両立できるかどうか不安

妊娠や出産が理由で離職していた方であれば、復職して、仕事と家事・子育てを両立できるかどうかの不安もあると思います。復職後は当然離職中とは違う生活になりますし、家庭との両立のバランスについては、働いてみないとわかりません。この場合、はじめからフルタイムや夜勤ありの職場ではなく、時短勤務可能な医療機関や夜勤のない病院に就職することで不安を解消できるかもしれません。

ブランクを持つ看護師が復帰するまでに準備すべきこと

勉強を行う看護師

看護師への復職に機が熟したタイミングだとしても、何の準備もなく復職に挑むのは得策ではありません。復職後は生活も一変するので、復職後の自身をイメージトレーニングするとともに、復職にあたって「離職中にまずやらなくてはいけないこと」を整理しておきましょう。

都道府県ナースセンターを活用する

都道府県ナースセンターとは、看護職員の就業促進と看護に関する知識向上を目的として国が1992年に設置した団体です。実施・運営は厚生労働省指定の日本看護協会による中央ナースセンターと各都道府県の看護協会による都道府県ナースセンターが担っています。各都道府県にはナースセンターが1つあり、看護師は登録無料で職業紹介サービスを受けられます。

復職のためのセミナーや講習会に参加する

上記ナースセンターのナースバンク事業(看護職の就業促進と定着支援)をはじめ、公的機関や民間企業において、ブランク期間の長さから再就職に不安を持つ看護師のためのセミナーや研修会などを行っています。こうした機会を復職への足がかりとして利用するのもおすすめです。セミナー等の内容も、最新の医療情報の提供から、採血・注射などの技術研修や看護師同士の交流会まで多岐に渡ります。中には無料で参加できるものもあり、ブランクがある潜在看護師にもハードルが低めに設定されているのが心強いです。

通信講座や独学でこれまで行ってきた業務の復習を行う

セミナーや講習会に参加する時間がとれない、コロナ禍にできるだけ外出したくない。そんな方には、通信講座や独学で過去の業務の復習をしながら今の医療を机上で学ぶ方法もあります。ただし、こうしたツールには信憑性が怪しいもの、アフターフォローがないものも多数存在しますので、テキストの監修者や、問い合わせ窓口の有無を確認した上での利用をおすすめします。

資格取得を目指す

ブランク期間に看護師に近しい資格を取得するのもおすすめです。活躍の幅が広がるとともに、面接の際にも意欲をアピールできます。たとえば、今後看護師の需要が増え続けるのが明確な介護関係の資格(ケアマネージャーなど)や、看護師資格保有者しか取得できない保健師免許などの資格取得がおすすめです。

離職時は都道府県ナースセンターに届け出を提出し、復職支援を受ける

2015年10月に改正された「看護師等の人材確保の促進に関する法律(人確法)」では、看護職が離職する際、都道府県のナースセンターに住所、氏名、免許番号などを届出することを努力義務化しました。離職中の看護師の状況を把握して復職支援を推進するもので、潜在看護師も手厚いサポートを受けられます。未提出の場合は今からでも遅くないので届出をしましょう。

▼参考資料はこちら
看護師等の人材確保の促進に関する法律

復職について家族へ相談する

復職すると生活が一変する可能性が高く、家事・育児の分担など家族の理解と協力は避けられません。復職後に揉めないように、事前に家族としっかり話し合いましょう。

ブランクのある看護師におすすめの職場

業務を行う看護師

ブランクのある看護師の復職にあたっては、現役時代の職場を希望するのが必ずしもベストとは限りません。着実に勘を取り戻すためには、医療処置をする機会が少なめで、比較的落ち着いて業務を進められる現場を選ぶと良いでしょう。

小規模のクリニック・診療所、検診(健診)センター

小規模のクリニック・診療所なら目も行き届きやすいため、人員の手厚いクリニックであれば、フォローを受けられる可能性が高いです。病棟とは異なり夜勤がなく、基本的には休診日が休みとなり固定休が取れるので、ワークライフバランスも整います。

検診(健診)センターを訪れる患者様は、基本的に身体的に異常がない方です。そのため、看護師の精神的な負担が少なく、業務も分担制でルーティーンワークのため、それほど気負いなく業務に馴染めるでしょう。また、基本的には平日昼間のみの勤務であり、残業もほとんどないため、プライベートを充実させられます。

ただし、クリニックも検診センターも、夜勤が発生しないことにより、お給料面で病棟勤務の看護師に比べると低くなる傾向にあります。また、採血、注射スキルといった基本的な医療スキルが求められることは多く、スキルに自信のない場合は事前に研修を受ける等、努力は必要です。

慢性期・回復期病棟

慢性期・回復期病棟ではそれほどスピード感を要する看護技術が求められないので、比較的落ち着いたペースで業務に慣れることができます。さらに業務はほとんどルーティーン化されているため、慣れたらミスも少なくて済むでしょう。実際にブランクOKの求人が多い点も特徴です。

介護施設や老人ホーム

介護施設における看護師の役割は利用者の健康状態の確認や介護業務のサポートがメインとなります。とくにデイサービスなどの通所施設であれば看護ケアをあまり必要としない利用者が多いため、看護スキルに不安をもつ方におすすめです。求人の数も多く、ブランクを抱えていても採用もされやすい傾向にあります。

ブランクを持つ看護師におすすめしない職場

救命救急や急性期病棟など、患者さまの容態急変が激しい現場は看護師にも臨機応変な対応とスキルが求められるため、ブランク明けの職場としてはあまりおすすめできません。また、残業や夜勤も多いため、ワークライフバランスもとりづらい傾向があります。

ブランク後の復職に不安がある場合はエージェントを活用する

この記事を読まれている方の中には、看護師への復職が久々の社会復帰、という方も多いと思います。そもそも復職活動の方法すら分からない...そんな方には、転職エージェントの利用がおすすめです。無料で復職の相談に乗ってくれるほか、希望に沿った好条件の求人を紹介してくれます。転職のプロであるコンサルタントが応募に必要な書類の作成サポートや面接対策なども行ってくれるため、復職前の不安も軽減できます。

まとめ

以前より問題視されていた看護師の慢性的な人手不足ですが、コロナ禍が追い風となり、さらに事態が深刻化している状況です。ブランク持ちの看護師への評価も見直されている今こそ、復職にベストなタイミングと言えるでしょう。

復職を希望する場合は、ひとりで悩まず、都道府県のナースセンターや転職エージェントを活用してみてください。まずはブランクOKの求人について情報収集したい...という方は、下記特集ページも参考にしてください。

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