治験で働く看護師とは?仕事内容や気になる給料について解説
記事掲載日:2020/09/14
看護師と聞くと、医療機関や社会福祉施設での看護業務をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかしそれら以外にも、看護師の活躍する場は多岐にわたります。
看護師にとって医療機関や社会福祉施設以外で人気のある仕事の一つが、治験です。治験ならではの仕事の面白さやメリットがたくさんあります。
そこで今回は、治験で働く看護師に注目して、仕事内容や気になる給料事情などについて解説します。
治験で働く看護師とは
治験とは「治療の臨床試験」の略称です。医薬品や医療機器を今後新しく販売するにあたって、法律上の承認を得るために行われる試験のことを指します。
治験に関わる仕事には、治験コーディネーターと臨床開発モニターの2つがあります。
どちらも何か特別な資格が必要というわけではありません。しかし仕事の内容柄、看護師や薬剤師、そして臨床検査技師などの医療系資格保持者を採用条件としている求人が多いです。
治験で働くためには、大学病院などの研究も行っている医療機関に就職をするか、医療機関から要請を受けてコーディネーターを派遣している治験施設支援機関に就職をするのが一般的です。
治験で働く看護師の仕事内容
続いては、治験で働く看護師の仕事内容をチェックしていきましょう。治験コーディネーターと臨床開発モニターに分けて解説します。
治験コーディネーター(CRC)の仕事内容
治験コーディネーターはCRCとも呼ばれています。主な役割は治験がスムーズに進んで行けるように、さまざまなサポートや調整を行うことです。
具体的にはスタート前の関係者との連絡・調整や資料作成、治験中の被験者へのケアや説明、治験を実施しているドクターのサポートなど多岐にわたります。
また被験者はときに精神的な負担を抱えることもあるため、心のケアも治験コーディネーターの大切な仕事の一つです。
臨床開発モニター(CRA)の仕事内容
臨床開発モニターはCRAとも呼ばれています。主な仕事は治験が当初の実験計画に沿って、正しく行われているかをチェックすることです。
治験スタート前は治験を行う医療機関と医師を選定し、治験中はスケジュール通りに進んでいるかなどの進捗チェック、そして治験後はデータをまとめて責任者に報告を行います。
治験の看護師として働くメリット
治験の看護師には医療機関で働く一般的な看護師とは違ったメリットがあります。主なメリットを全部で3つ見ていきましょう。
新薬の開発に貢献できる
まずは新薬の開発に貢献できることです。医療が進歩した現代においても、まだまだ病気で苦しんでいる人はたくさんいます。一人でも多くの人を救うためには、新薬の開発は欠かせません。
医療機関の看護師とは違ってダイレクトに患者に関わることはありませんが、新薬開発という違った形で貢献できるのは大きなメリットでしょう。
カレンダー通りの休みで、基本的に日勤のみ
土日祝日休みなどカレンダー通りの休みであること、そして基本的に日勤のみであることもメリットです。
入院病棟がある医療機関に勤務をすると、シフト勤務や夜勤もあるのが一般的です。不規則な生活習慣で体調を崩す看護師も少なくありません。
規則正しい生活を送りたい人にピッタリな仕事といえるのではないでしょうか。
デスクワークが多く、力仕事が少ない
最後はデスクワークが多く、力仕事が少ないことです。被験者と話をしたりすることはありますが、基本的にはパソコンを使った仕事がメインです。
体位交換や入浴介助、移動介助などの力仕事も少ないため、身体への負担も軽減できるでしょう。
治験の看護師として働く際の注意点
治験の看護師として働く際は、いくつかの注意点があります。
パソコンスキルが必要
パソコンスキルは必須です。仕事の多くはパソコンを使ったものになるため、ワードやエクセル、パワーポイントなどの最低限のパソコンスキルは身につけておきましょう。
薬に関する知識を覚えるのが大変
仕事柄、薬に関する知識や法律に関することを多々求められます。就職・転職する時点で必須ではありませんが、仕事をスタートした後は精力的に学んでいかなければいけません。覚える量もたくさんあるので、人によっては大変さを感じるかもしれません。
治験で働く看護師の給料はいくら?
最後に治験で働く看護師の給料事情を紹介します。
当サイトが求人を調査したところ、治験コーディネーターで年収350万~400万円、臨床開発モニターで年収420万~450万円ほどでした。どちらも採用初年度の収入です。
勤続年数が長くなれば昇給もどんどんしていくので、年収500万円以上も可能な範囲といえるでしょう。
まとめ
治験で働く看護師は、治験がうまく進むようにさまざまなサポートや調整を行います。医療機関のように直接患者の看護業務を行うことはありませんが、新薬開発を通して医療に貢献できるのが魅力の一つです。
薬や法律の知識を大量に覚えるのは大変ですが、多くのやりがいやメリットを持つ仕事といえるでしょう。