有料老人ホームの看護師の役割と仕事内容は?働くメリット・注意点や給料について解説
記事掲載日:2021/02/22
介護施設で働く看護師は、病院やクリニックとは異なる役割を担います。介護スタッフと協力して入居者の介護・介助のサポートをおこなったり、医療従事者として健康管理や医療行為をするのがメインとなります。
実際に有料老人ホームで勤務したことはなくても、訪問看護ステーション・医療機関と連携している施設が多いので、業務上で関わりを持った方もいるのではないでしょうか。
今回は、介護施設のなかでも有料老人ホームで働く看護師の仕事内容や働くメリット、注意点、そして気になる給料事情について解説します。
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは高齢者が心身の健康を保つために、食事の提供、入浴・排泄・食事の介助、洗濯・掃除など家事のサポートから健康管理など必要なサービスを受けて生活するための施設です。基本的には民間企業・団体が運営しており、入居基準や費用、そして具体的なサービス内容はホームによって大きく異なります。医師の配置は義務付けられていませんが、入居者30人までは看護師が1人、その後入居者が50人増すごとに1人の配置が義務つけられています。
超高齢社会を迎える日本において、有料老人ホームの施設数と入居者は、右肩上がりで増加しており、その施設で医療行為を提供する看護師のニーズも高まっています。有料老人ホームは、大きく介護付、住宅型、健康型の3種類に分類されます。それぞれの特長を解説します。
介護付有料老人ホーム
24時間介護スタッフが常駐し、介護が必要とする高齢者に身体介護、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを提供します。また介護付有料老人ホームの施設運営基準では、看護師の日中常勤が求められており、医療機関との提携も求められています。看護師が行える医療行為は、インシュリン注射や褥瘡の措置、人工呼吸器の管理、痰の吸引などです。それ以外の専門的な医療行為は、協力医療機関で行います。
住宅型有料老人ホーム
介護付有料老人ホームと異なり、主に生活支援サービスを提供する施設です。入居者が介護サービスを必要になった場合は、施設とは別の訪問介護事業所や居宅介護支援事業所と契約をしなくてはいけません。そのため、介護士・看護職員の配置基準もなく施設によってケア形態は様々です。専門の看護職員がいる施設の割合は約3割です。[※1]
健康型有料老人ホーム
有料老人ホームでも数が少なく、基本的に自立されている高齢者が対象になっています。目的は心身の健康を維持して充実した生活をおくることに重点を置いています。そのためジムやシアタールームなどレクリエーション施設が充実しているのが特長です。介護付、住宅型よりもサポート範囲は狭く、要介護になると退去を求められるケースもあります。
入居者はどんな方?
有料老人ホームの入居者はホームによってさまざまです。介護付有料老人ホームは、基本的に介護・看護が必要な高齢者が入居します。施設によって対象者は異なりますが、認知症対応、看取り対応をしている施設もあります。住宅型・健康型は、身の回りのことは自分でできる人が入居していますが、看護職員の人員基準が定められていないため、看護師のニーズはそこまで高くありません。
老健・特養との違いは?
有料老人ホームとは別に、公的に運営されている介護老人保健施設(老健)と特別養護老人ホーム(特養)があります。
老健は在宅復帰を目的としてリハビリをする施設のため、入所期間が限定されており、看護職員の配置人数も多くなっています。
特養は、要介護3以上が入居対象となっており、寝たきりなど重度の介護にも対応しています。
●老健(介護老人保健施設)
運営:地方公共団体・医療法人・社会福祉法人
介護度:要介護1~5
入居目的: 在宅復帰を目的としたリハビリ
医師:常勤で配置
●特養(特別養護老人ホーム)
運営:地方公共団体・社会福祉法人
介護度:基本的には要介護3~5
入居目的:介護を受けながら生活を送る
医師:配置(非常勤でもOK)
有料老人ホームで働く看護師の仕事内容
有料老人ホームで働く看護師は、どのような仕事や役割を担っているのでしょうか。主な仕事内容を解説します。
入居者の健康管理業務
体温や血圧などのバイタルチェック、体調確認、内服薬や軟膏の投与など、入居者が健康に生活を送るために必要な業務を行います。
医療行為
胃ろうや痰吸引、インシュリンなど医師の指示に基づいて必要な医療行為をします。
通院介助や入退院の介助
入居者が通院や入退院をする場合、付き添って必要な介助やサポートを行います。
有料老人ホームで看護師として働くメリット
有料老人ホームで働くことには、医療機関とはまた異なるメリットがあります。
ワークライフバランスを保ちやすい
有料老人ホームは看護師を24時間配置する義務がないため、看護師は日勤のみとしている施設も少なくありません。
残業も少なく定時で退勤できることが多いので、プライベートの時間を大切にしたい人にピッタリです。ただし、施設によってはオンコールや夜勤はありますので、転職を検討されている方は施設をしっかり調べましょう。
体力的な負担が少ない
医療機関では仕事量が多く、絶えず立ちっぱなしや動きっぱなしとなることは珍しくありません。患者さまの世話など肉体労働もたくさんあります。
有料老人ホームは生活施設のため、バタバタと忙しくなることはありません。また介護は基本的に介護職員が担ってくれるため、体力的な負担は少なくて済みます。
入居者と長く関わり、支える看護ができる
有料老人ホームに入居している方は、終の棲家として生活していることが少なくありません。病院のように患者さまが頻繁に入れ替わるようなことがないため、一人ひとりの入居者と時間をかけてじっくり関われるのは大きなメリットといえるでしょう。
有料老人ホームで働く際の注意点
有料老人ホームで働く際の注意点をチェックしていきましょう。
施設に医療従事者が少ないため、責任が大きい
前述したように有料老人ホームによっては看護師の数が少ないため、人によってはプレッシャーや責任の大きさを感じることでしょう。とはいっても、同じホーム内や法人内の看護師同士で協力し合える体制が整っていたり、対応マニュアルがありますので、必要以上の医療行為は禁止されています。メリットにも記載したように毎日の健康の確認やチェックなど一人ひとりに向き合うことが働きがいにもなります。
看護師としてのスキルアップが難しい
有料老人ホームは、高度な医療を提供することが目的ではないため、病院のように専門的な看護スキルを向上させる機会は少ないかもしれません。同時に施設の看護職員の数も限られ、同僚も少ないため、キャリアアップなどの相談やモデルケースを見つけにくくなるかもしれません。
夜勤やオンコールを要する施設もある
介護付有料老人ホームでも24時間看護師常駐を特長としている施設では、当然のことながら看護師も夜勤を行わなければいけません。また夜勤がない施設の場合、日勤の看護師が交代でオンコール対応をするケースもあります。当然、夜勤対応やオンコールがある場合は報酬が高くなりますので、有料老人ホームで働きたく、報酬面でも稼ぎたい方にとってはメリットとなります。
有料老人ホームで働く看護師の給料はいくら?
最後に、気になる有料老人ホームで働く看護師の給料事情を紹介します。
ナースステップで求人を調査(2022年3月時点)したところ、正社員で月給26.6万~35万円ほどがボリュームゾーンとなっており、オンコール対応がある場合は手当が支給されます。また夜勤がある施設では、さらに給料は高くなります。
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まとめ
有料老人ホームで働く看護師は入居者の健康管理業務のほか、胃ろうやインシュリン注射などの医療行為も含まれます。
夜勤や残業がない施設も多いため、ワークライフバランスを大切にしたい人にもおすすめの職場です。
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