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看護師から「保健師への転職」|就業先や必要資格・スキルを知ろう

記事掲載日:2021/11/30

看護師から「保健師への転職」|就業先や必要資格・スキルを知ろう

看護師の中には、治療から予防医療に興味が変わるなどして、保健師へのチャレンジを考える人が珍しくありません。しかし、保健師として働くには、どのような資格やスキルが必要なのでしょうか。また、どのような勤務先があるのでしょうか。そこで、この記事では、看護師が保健師へ転職するために必要な情報を紹介いたします。是非ご参考にしてください。

看護師から保健師になるために必要な資格

看護師が保健師として働くには、新たに「保健師免許」が必要になります。既に看護師免許を持っている人は、「1年制の保健師養成学校を卒業」し、保健師の国家試験に合格することで保健師免許を取得することが可能です。

また、看護師の免許を取得していない人は、4年制大学や専門学校などで必要な過程を学び、看護師と保健師の国家試験をダブル受験し合格することで、両方の国家資格を同時に取得することができます。

尚、保健師の勤務先によっては、さらに資格が必要になることも。例えば、「行政保健師」として働くには、保健師の免許に加え、地方公務員の資格が新たに必要になります。

保健師に仕事を変える難しさ

保健師はそもそも、数が非常に少ない職業です。このため、看護師から保健師への転職は簡単ではありません。具体的な理由には「求人の差」が挙げられ、実際、保健師と看護師の間には求人倍率の大きな差がみられます。

日本看護協会が発表している統計データ(2017年度)によると、看護師の求人倍率は2.69倍であるのに対し、保健師の求人倍率は0.77倍に留まっています。ここから、保健師の競争率の方が遥かに高いことが分かるでしょう。

また、一部の保健師は公務員として働くことになるため、別途資格の取得が必要になることも。さらに年齢制限なども相まって、転職の難易度が高い傾向にあるとみられます。

▼参考資料はこちら
日本看護協会│平成29年度中央統計

保健師の勤務先や仕事内容について

従業員をサポートする産業保健師

保健師の勤務先は、その多くが自治体や行政機関です。厚生労働省が発表している「年衛生行政報告例」によると、保健師の勤務先割合として「市区町村」が 56.0%と最も高く、そして「保健所」が15.3%、「病院」が6.2%などと続いています。

また、勤め先によって保健師の呼び方が区別されており、その主な種類としては「行政保健師」、「学校保健師」、「産業保健師」、「病院保健師」が挙げられます。それでは、各保健師について詳しく見ていきましょう。

▼参考資料はこちら
厚労省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

行政保健師

行政保健師は、都道府県や市区町村が管轄する保健所や保健センターなどで働く保健師のこと。主に地域住民を対象とし、老若男女の健康づくりを支援します。地域住民の健康相談や感染症の調査・予防、障害者の生活支援など、老若男女の健康づくりを支援します。

実際、世の中の保健師の半分以上が行政保健師で、また行政保健師のほとんどが地方公務員として働くことになります。

学校保健師

学校保健師は、学校に通う生徒・職員の健康づくりを担う保健師です。一般的に学校の保健室に駐在し、生徒や職員がけがをした時の応急処置はもちろんのこと、病気予防や健康増進を目的とした保健指導なども行います。

必要な資格は保健師免許のみとなりますが、養護教諭の免許があれば、より幅広い求人へ応募が可能です。尚、保健師の中でも学校保健師は、採用の間口が狭くなっています。

産業保健師

一般企業で働く保健師のことを産業保健師と言います。産業保健師の仕事は、企業に勤める労働者を対象に、保健指導や健康管理業務を実施。保健指導では、労働者への運動や食事など生活習慣の改善指導などを行います。健康管理業務に関しては、健康診断に関わる各種業務や、健康管理に関する相談対応、またストレスチェックの検査実施・結果分析などを担います。

病院保健師

病院保健師とは、病院やクリニック、診療所などで働く保健師のこと。主な業務には、労働者への健康指導や、入院患者の退院調整などが挙げられます。また、病院保健師は、保健師としての仕事だけではなく、看護師の仕事も担います。

保健師に求められるスキルとは

メモを取る保健師

ここからは、保健師に求められる大切な二つのスキルについて、それぞれ解説します。

コミュニケーション能力

保健師の主な業務は、地域住民や従業員から健康や保健の相談を受け、助言や指導をすることです。このため、つぶさに状況を把握するための傾聴力や、分かりやすく伝えるための説明能力など、コミュニケーションに関わる能力が大切になります。

相談者との信頼が築けていなければ、相談者は保健師に対し、健康やメンタルなどに関する繊細な悩みや相談を打ち明けません。つまり、どのように信頼感を得えていくか。常に念頭に置き、相談者の立場になって考えることが必要となります。

マネジメント能力

保健師に必要とされるスキルに、マネジメントの能力が挙げられます。なぜなら、保健師の具体的な業務の一つに、健康状況に関する定量的な情報の把握や、処理作業があるからです。また、さまざまな健康課題の計画や実施、評価に関する作業もあり、これらはスタッフや関係機関などとの密な連携が必要になります。

保健師への転職を成功させるポイント

労働者にアドバイスを行う産業保健師

ここでは、看護師から保健師への転職成功のポイントを「転職する目的の明確化」、「こまめな求人チェック」、「自己分析」の3つに分けて解説していきます。

転職する目的の明確化

なぜ保健師へ転職を希望するのか、目的を明確化させましょう。目的が明確になっていると、面接でブレがない受け答えが可能になります。

「看護師の仕事は肉体的・精神的にきついから」「保健師は仕事が楽そうだから」などの理由では、転職面接時に面接官に良い印象を与えません。しっかりと目的を定め、「この人と一緒に働きたい」と思わせる転職理由を考えましょう。

具体的には、「予防医療の専門家になりたい」や、「健康やメンタルで悩んでいる方を救いたい」、「コミュニケーション能力を活かしたい」など、具体的な志望動機や将来の展望を軸にして、理由を考察するようにしてください。

こまめな求人チェック

こまめな求人のチェックは、転職を成功させる上で欠かせません。特に、公務員でもある行政保健師の採用情報は、自治体の広報誌や公式ホームページなどで求人が公開されるのが一般的です。希望地域の公式ホームページをブックマークするなどし、求人情報を定期的に確認できる状態にしましょう。尚、産業保健師や学校保健師の求人情報については、インターネット上で閲覧できる求人サイトで検索可能です。

自己分析

自分自身を面接官へ上手くPRできれば、採用される確率もぐんと向上します。特に、中途採用においては、これまでの看護師としてのスキルや、それを保健師としてどのように発揮できるかが重視されます。

また、転職を希望している職場から何が求められるのか、自分はどんな「保健師」になりたいのか、保健師として誰に何を貢献したいのか。転職した際の5年後、10年後の自分の未来についても見据えましょう。転職活動をスムーズに進めるためにも、あらかじめ自己分析し、書類や面接で自分の強みをアピールできるようにすることが大切です。

専門コンサルタントがキャリアをサポート

看護師から保健師への転職について、理解は深まりましたでしょうか。保健師になるには資格の取得はもちろんですが、その他看護師とは異なるさまざまなスキルが求められます。また、採用の過程も看護師とは異なるため、正確な情報が必要になります。

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