派遣看護師として働くメリットは?正社員との違いについても解説
記事掲載日:2022/01/07
看護師の働き方は多様化し、正社員ではなくあえて派遣社員として働く人も増えてきました。昨今では、新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で、特例的にワクチン接種会場への看護師の派遣が可能に。その対応として派遣として働き始めたという方も、なかにはいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、派遣看護師として働くメリットとデメリットをまとめています。正社員として働くことや今後のキャリアプランに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
派遣看護師とは?
派遣看護師とは、派遣会社から医療機関に派遣されて働く看護師のこと。
派遣会社への登録を行った上、紹介される派遣先での勤務に従事します。雇用元はその派遣会社になるため、派遣先との直接的な雇用関係はありません。一方、業務の指揮命令権は派遣先にあります。
給与は派遣会社から支払われ、福利厚生なども同様に派遣会社の制度次第です。
業務内容は、正社員の看護師とほぼ同じです。ただし、決まった勤務形態で働く正社員と異なり、派遣として働く場合は勤務時間や働く日数、曜日などを自分で選べるため、自由な働き方ができます。
以前、医療機関での派遣看護師は法律で禁止されていました。しかし2006年以降、徐々に規制緩和が進み、現在は以下の条件に当てはまる看護師業務に限って認められています。
なお、短期間(契約期間が31日未満、もしくは労働時間が週20時間未満)だけ派遣先で働く「日雇い派遣」は、看護師に限らず原則禁止されています。しかし、2021年4月の規制緩和によって、特定の条件の看護師に限り、社会福祉施設(介護施設・障害者施設など)への日雇い派遣が解禁されました。その条件は以下のいずれかに該当する方です。
- ・60歳以上の者
- ・雇用保険の適用を受けない学生
- ・副業として従事する者(生業収入が500万円以上限定)
- ・主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上限定)
医療機関以外での看護師業務
法的に認められている派遣看護師の代表例に、以下のような医療機関以外での就業があります。こうした場所で働くことで、看護師として多様な経験を積めるでしょう。
- ・有料老人ホーム
- ・デイサービス
- ・特別養護老人ホーム
- ・社会福祉施設(児童福祉施設、障害者施設など)
- ・保育園
一方で、以下のような医療機関などでの派遣看護師は法律で禁止されています。
- ・病院
- ・クリニック
- ・助産所
- ・介護老人保健施設(訪問入浴介護・訪問予防入浴介護を除く)
- ・患者さまの家(訪問看護など)
医療機関でも認められる派遣看護師
医療機関へ看護師を派遣するには、次の条件を満たす必要があります。
産休代替
産休代替とは、医療機関で働く看護師の産休や育休取得中に代理で業務にあたることです。また、介護休業についても、同様に認められています。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、派遣開始から3~6ヵ月後に直接雇用となることを前提とした働き方です。雇用主と被雇用者の同意のもと、正社員やパート、アルバイトに切り替えられるため、一時的な派遣としての就業が可能となっています。
へき地などへの派遣
社会福祉施設への日雇い派遣同様、2021年4月の規制緩和によって、へき地や厚生労働省が省令で定める地域での医療機関に限定して、派遣看護師が認められることになりました。
▼参考資料はコチラ
へき地の医療機関への看護師等の派遣等について (厚生労働省)
派遣看護師として働くメリット
派遣看護師として働くメリットとして、次の3つがあげられます。
時給が高い
正社員が月給制である一方、派遣看護師は基本的に時給制です。派遣看護師は即戦力としての活躍が求められるため、パートやアルバイトよりも時給が高い傾向にあります。
一方で、入社時の十分な研修がない場合もあるので注意しましょう。
ライフスタイルに合った働き方が可能
時給制で働く派遣看護師は、勤務時間や働く時間帯、日数についても柔軟に調整できます。曜日固定の週3日勤務や、夜勤なしでの勤務、短期での就業後に長期休暇をとるなどの働き方も可能です。
派遣看護師なら残業についても相談しやすく、自分らしいライフスタイルを実現できるでしょう。
短期での勤務も可能
前述の通り、派遣看護師は医療機関ではなく派遣会社と雇用契約を結びます。医療機関との直接雇用の場合、転職を希望する場合には看護師長など上長との相談や交渉が必要です。
一方、派遣看護師として働いている場合には、派遣会社の担当者との話し合いで退職が可能。職場の雰囲気や働き方が合わなかった場合でも、契約満了で円満退社をした後に別の職場で就業できるのも大きなメリットと言えるでしょう。
派遣看護師のデメリット
派遣看護師としての勤務には、次のようなデメリットもあります。
昇給やボーナスがない可能性がある
2020年4月の派遣法改正で「同一労働同一賃金」が導入され、仕事内容が正社員と同じ場合には派遣社員であってもほぼ同額の給与が支給されることになりました。
しかし実際のところ、ボーナスや退職金が支給されることは少なく、あった場合も少額というのが現状です。
収入や雇用が不安定
派遣看護師の場合、派遣先が契約更新を望まなければ仕事は終了しています。そのため、定年まで働き続けられる直接雇用の看護師と比べると、不安定な働き方だと言えるでしょう。
また、カレンダー通りに開院するクリニックで勤務する場合、派遣看護師は時給制であることが多いため、休日が多い月は収入が少なくなります。
休日の多い月に単発で派遣の仕事を入れる方法もありますが、固定給の社員と比べると安定した収入は望めません。
職場に馴染みにくい
派遣会社の社員である派遣看護師は、派遣先で「外部の人」という扱いを受けることもあります。こうした事情もあり、直接雇用で働くのに比べて勤務先に馴染みにくいと感じる方が多いようです。
ライフプランの設計が難しい
派遣看護師は、ライフプランの設計に注意が必要です。収入や雇用が不安定となるため、派遣看護師はローンの審査が通りづらい傾向にあります。
また、結婚や出産のタイミングを見極めるのも難しくなるでしょう。現在、ローンを組むことや子育てのための安定した収入の確保を希望する人には、直接雇用で働ける職場への転職もおすすめします。
紹介予定派遣をおすすめする理由
今回の記事では、派遣看護師についてご説明しました。医療業界の変化に合わせて、ご自身の望むキャリアやワークライフバランスを実現できる働き方を、一度検討してみてはいかがでしょうか。
また、ご紹介した紹介予定派遣では、希望する職場に短期間のお試しで看護師が派遣就業し、雇用主と看護師双方の直接雇用後のギャップを最小限にするメリットがあります。
ナースステップでも同様の案件を扱っており、エージェントが希望に沿った求人をご紹介します。面談では、紹介予定派遣の詳細のご説明や、履歴書の添削、面接日程の調整、キャリアプランの相談など、転職を幅広くサポート。コロナ禍などをきっかけに働き方を見直したい方は、ぜひ『ナースステップ』 へご相談ください。
自分の希望に合った職場で働くことが大切
現在、高齢化などによって看護師の需要は増加傾向にあり、働き方も多様化しています。選択肢が多いからこそ、自分に合った働き方を見極める必要があるでしょう。
今回ご説明の通り、派遣と直接雇用の働き方には両者ともにメリットとデメリットがあります。新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、医療業界に大きな変化が求められ、先の見えない時代が到来しました。だからこそ、今回の記事も参考にしつつ、ご自身のキャリアについて考え直してみてはいかがでしょうか。
▼ナースステップについて詳しくはコチラ
初めての方へ