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看護師の退職金はいつからもらえる?平均相場や算出方法を解説

記事掲載日:2020/08/26

看護師の退職金はいつからもらえる?平均相場や算出方法を解説

多くの職種と比べて看護師の給与は一般的に高いと言われていますが、退職金はどうなのでしょうか。退職することになった場合、当面の生活費として退職金をあてにする人も多いでしょう。今回は看護師の退職金事情として、退職金の有無や金額はどのように決まるのか、そして退職金をたくさんもらうコツについても紹介します。

そもそも看護師は退職金をもらえるの?

そもそも看護師は退職金を受け取ることができるのでしょうか。結論から述べますと、退職金の有無は勤務する病院やクリニック次第です。

最低賃金と異なり、退職金には法律の定めはありません。退職金を支給するかどうかは病院やクリニックの考え方によります。実際に退職金の制度がない勤務先も、ゼロではありません。たとえ退職金制度があったとしても、一定の勤務年数を要件にしていることもあります。一般的には勤続3~5年であれば退職金を受け取れる医療機関が多いようです。 

繰り返しになりますが、退職金制度の有無や受け取り条件などは、病院・クリニックによって異なります。これから求人に応募しようと考えている方や、すでに働いている対象の職場の就業規則を確認してみましょう。

看護師が退職金を受け取れる病院・クリニックの特徴

では、どういった病院クリニックであれば退職金を受け取れるのでしょうか

大学病院や公立病院の他、スタッフ数が多い大きな医療機関では、退職金制度が採用されていることが多いです。

一方、小規模で個人経営のクリニックや、病院であっても基本給が高めに設定されていると退職金がない傾向にあります。こちらはあくまでも一般的な傾向であり、小さなクリニックでも退職金が充実しているところもありますので、求人内容や就業規則を確認する必要があります。

看護師の退職金はいつ・いくらもらえる? 勤続年数などから算出する方法

退職金を受け取れる場合、その金額はどのように決まるのでしょうか。
金額が決まるパターンは、主に次の4つです。

勤続年数によって固定の退職金の金額が固定されている

1つ目は勤続年数によって、固定の退職金が定められているパターンです。例えば3年勤続であれば30万円、5年勤務であれば60万円など一律で決まっており、基本給や勤務先への貢献度などは考慮されません。一般的には就業規則や賃金規則などに、年数ごとの金額が記載されています。

基本給×勤続年数で退職金の金額が決まる

2つ目は基本給に勤続年数をかけたパターンです。正職員として勤務する場合、年々基本給は上がっていくのが一般的です。基本給が上がれば上がるほど、退職金の支給額も増えます。

例えば基本給25万円で、勤続10年で退職する場合、25万円×10=250万円が退職金として受け取れるのです。

基本給×勤続年数×功績倍率で退職金の金額が決まる

基本給×勤続年数に、さらに「功績倍率」をかけたパターンもあります。功績倍率とは、勤務先にどのくらい貢献をしたかという度合いのことです。功績の度合いは勤務先で判断されますが、役職に就けば功績度が上がる傾向にあります。

例えば基本給25万円で3年間の勤務、功績倍率を120%としましょう。25万円×3×120%=90万円が退職金となります。

毎年の固定金×勤続年数で退職金の金額が決まる

最後は毎年の固定金に勤続年数をかけたパターンです。勤続年数に関わらず、1年勤務ごとに固定の金額が加算されていく方式を指します。

例えば固定金が10万円で5年勤続した場合、10万円×5=50万円です。

看護師の退職金の平均相場

ここまで、基本給や勤続年数から退職金の金額を算出する方法について解説してきましたが、実際に看護師が受け取っている退職金の相場はどのくらいなのでしょうか。

ここでは、定年退職と勤続年数ごとのそれぞれの平均相場について解説します。

定年退職の退職金の相場

定年退職の場合、看護師の退職金の相場は働く職場によって異なります。ここでは、国立病院と公立病院、私立病院の相場を表にまとめました。

国立病院

1,800〜2,000万円

公立病院

1,400〜1,900万円

私立病院

1,000〜2,000万円

国立病院は最も退職金の相場が高くなっており、役職に就いていた場合は2,000万円以上になる場合もあるようです。

公立病院の場合は、医療機関の運営元によっても相場が異なります。都道府県立の病院では約1,400万円、政令指定都市で約1,900万円、市町村立で約1,800万円がそれぞれ相場となります。

私立病院の場合は、病院によって退職金の金額にかなり幅があります。小規模な病院やクリニックでは、退職金制度自体がない場合もあります。

勤続年数ごとの退職金の相場

次に、勤続年数ごとの退職金の目安をみていきましょう。

勤続年数

退職金の相場

3年

〜30万円

5年

30〜50万円

10年

250〜300万円

20年

450〜600万円

30年

800〜900万円

勤続年数が3年前後の場合は、まだ働き始めて日が浅いため、退職金をもらえない場合もあります。もらえたとしても、給与1ヶ月分ほどの金額が目安となるでしょう。

勤続年数が5年を超えてくると、退職金は50〜100万円が相場となります。そして、勤続10年目になると250〜300万円と一気に相場が上がり、20年目、30年目といった風に金額が上がっていきます。また、役職に就いた場合は相場よりも高い金額が支給される場合もあります。

看護師の退職金には3つの受け取り方がある

看護師に限らず一般的に、退職金には主に3種類の受け取り方があります。退職金は金額だけでなく、受け取り方も重要なポイントになるため、所属する職場ではどのような受け取り方ができるのか確認しておきましょう。

退職一時金制度

退職一時金制度は、退職する際に退職金を一括で受け取る方法であり、最も一般的な退職金制度です。厚生労働省の調査によれば、退職金制度を設けている医療・福祉業界の企業のうち、96.2%が退職一時金制度を採用しています。

企業年金制度

企業年金制度は、規定の年齢に達したあとに生涯、もしくは一定年齢に達するまで年金として退職金が支払われ続ける制度です。退職時にまとまったお金が支払われない代わりに、退職後も一定の収入を確保することができます。

前払い退職金制度

前払い退職金制度は、退職前の在籍中に給与や賞与に含まれる形で退職金が支払われる制度です。退職時・退職後における退職金の支給はありませんが、若いうちから退職金を資産の購入や運用に回せるのがメリットです。

看護師がより高額な退職金を受け取るためには

同じ看護師の仕事をするなら、できれば退職金をたくさんもらいたいですよね。最後に、より多く退職金を受け取るためのコツについて紹介します。

基本給や役職が上がるよう努力をする

基本給や役職が上がるように努力をしましょう。退職金の額に基本給や功績倍率が関係する場合、基本給や役職が上がれば退職金の金額も上がる可能性があります。人事考課制度を採用している職場の場合、毎年の功績によって昇給額が変わります。仕事に真面目に取り組み、常に自己研鑽を続けていくようにしましょう。

退職金の制度が整っている病院・クリニックに転職する

退職金の制度が整っている病院・クリニックに転職するのも有効です。退職金の制度は勤務先によってさまざまです。仕事内容は同じでも、勤務先の違いで退職金の額も変動します。

転職する際は、求人票に退職金の有無が記載されているかどうかを確認することが大切です。また、転職サイトの利用も効率的です。転職サイトに掲載されている求人は、一つひとつを転職サイト企業が確認していますので、正確で詳しい内容になっています。

まとめ

看護師の給与は高く設定されているとはいえ、もし退職することになったら、当面の生活費として退職金に頼ることは少なくありません。退職金制度は勤務先によって異なります。一般的に大きな病院や公立病院では制度が整っていますが、詳細は求人票や就業規則でしっかり確認をしておきましょう。

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