産婦人科の看護師とは?仕事内容や助産師との違い。必要なスキル・給料まで紹介
記事掲載日:2021/01/18
女性の妊娠、そして出産という生命の誕生に関わることができるのが産婦人科です。やりがいのある職場を求め、産婦人科を希望する看護師は少なくありません。
今回は、産婦人科で働く看護師の仕事内容や助産師との違い、働く際に必要なスキルや給料まで紹介します。産婦人科に興味がある人は、ぜひ参考にしてくださいね。
- そもそも、産婦人科とはどんなところ?
- 産婦人科で働く看護師の仕事内容
- 産婦人科の看護師と助産師の違い
- 産婦人科の看護師として働くメリット
- 産婦人科の看護師として働く際の注意点
- 産婦人科の看護師に必要な3つのスキル
- 産婦人科で働く看護師の主な職場
- 産婦人科で働く看護師の給料はどのくらい?
- まとめ
そもそも、産婦人科とはどんなところ?
産婦人科の分類 |
|
産科 |
婦人科 |
主に妊娠〜出産までをサポート |
子宮・卵巣など女性特有の疾患を治療/ケア |
産婦人科とは産科と婦人科の2つの診療科が合わさった病院です。
産科は女性の妊娠から出産までの診療やケアを担当。妊娠中の検診や治療、分娩、そして出産後の母体と赤ちゃんのケア、育児指導なども行います。
対して婦人科は、女性特有の疾患に対して治療やケアを行うところです。子宮や卵巣、膣、乳房などの病気、そして不妊に関しての相談や治療を行ってくれます。
産婦人科と診療科を提示していても、中には産科の機能を持っていない医療機関もあるので注意しましょう。
産婦人科で働く看護師の仕事内容
続いては産婦人科で働く看護師の仕事内容を、産科と婦人科に分けて見ていきましょう。
産科・婦人科の主な仕事内容 |
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産科 |
婦人科 |
・エコー検査の介助 |
・診察の介助 |
産科の仕事内容
産科では診察や検診に来た妊婦に対してエコー検査の介助、採血、妊娠中の生活指導などを行います。
分娩前には妊婦の状態を分析し、分娩中は医療機器の準備やバイタルチェックなどを通して医師や助産師の分娩をサポート。
さらに出産後は母体や赤ちゃんのバイタルチェックや採血、そして沐浴や授乳などの育児指導も看護師の大切な仕事です。
婦人科の仕事内容
前述したように、婦人科は女性特有の疾患や不妊の治療などを行うところです。看護師は医師の指示に従って、各種検査や治療の補助行為、患者の精神的ケアなどを行います。また身体に異常のない方へのピルの処方や月経日をずらす相談なども対象です。
端的にまとめると、産科は妊娠に関する専門科であり、看護師は妊娠・出産・産後など"出産"に関わる内容を仕事とします。婦人科は妊娠以外の女性特有の悩みに対する専門科であり、看護師は手術療法だけでなく、化学療法や放射線療法など多岐にわたる治療へのオペ出しに加え患者さまの精神的なケアも担います。
産婦人科の看護師と助産師の違い
産婦人科には基本的に産婦人科医と看護師、そして助産師が常駐しています。助産師と看護師の主な違いは助産行為、つまり分娩時に赤ちゃんをとりあげられるかどうかです。助産師は正常分娩時に限り、医師の指示なく助産行為が可能ですが、看護師はできません。
また助産師になるためには看護師免許をベースとし、さらに国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験資格は助産の専門学校や、助産課程がある大学などを卒業しなければいけません。
産婦人科の看護師として働くメリット
他の診療科ではなく、産婦人科の看護師として働くメリットはどこにあるのでしょうか。
主なものを2つ紹介します。
命の誕生に立ち会うことができる
まずは命の誕生に立ち会えることです。女性の妊娠、そして出産に立ち会えるのは医療機関の中でも産婦人科だけです。
生まれてきた赤ちゃんの姿、そして無事に出産を終えてホッとした母親や父親の笑顔を目の当たりにできるのは、産婦人科で働く看護師の大きなメリットといえるでしょう。
助産師を目指している場合、良い経験になる
将来的に助産師の資格取得を目指している場合、産婦人科での勤務が良い経験となります。
助産行為は行えないものの、妊婦へのケアや分娩時の対応など、助産師に求められることを数多く学べるでしょう。
幅広い知識を得られる
産婦人科は、成人看護だけでなく新生児看護も含まれています。そのため急性期から慢性期、周手術期や、精神看護まで幅広い知識を得られます。また婦人科では不妊症関係にてホルモンバランスを検査するため採血をする機会が一般診療科と比較し多いです。
採血を苦手とする方も、婦人科の経験を通し克服できるでしょう。
産婦人科の看護師として働く際の注意点
産婦人科ならではの働くメリットがある一方、働く際にはいくつかの注意点があります。
細心のコミュニケーションや精神ケアへの対応
産婦人科の看護師には、前述の通り幅広い知識や技術を必要としますが、特に必要なのが心理ケアです。
初めての妊娠や出産、そして不妊のことで神経質になっている女性は少なくありません。不安に感じている気持ちを上手にくみとって、精神的にも安心できるような対応が求められます。
死産、流産、中絶手術に立ち会うこともある
産婦人科では死産や流産、そして望まない妊娠からの中絶手術に立ち会う可能性があることも理解しておきましょう。
産婦人科の看護師に必要な3つのスキル
産婦人科の看護師として働くためには、次に挙げる3つのスキルがあると良いでしょう。
コミュニケーション能力
妊娠中や不妊治療をしている人の中には、精神的に不安を抱えていることも少なくありません。検査や処置などだけでなく、看護師の温かい言葉がけで患者さまの不安は軽減されるものです。
患者さまと小まめにコミュニケーションを取って、不安を解消できるような人が求められます。
共感力
患者さまが感じている不安や課題を汲み取るには、高い共感力も必要です。
自分の身に置き換えて、患者さまが何を思っているのか、どのようなことに不安を感じているのか、そしてどのような言葉がけを必要としているのかを推測することが大切です。
患者さまのいつもとは違った、ささいな変化にもすぐ気が付ける人が重宝されます。
精神的な強さ
先に述べたように、産婦人科では死産や流産、そして中絶手術に立ち会う機会もあることでしょう。
困難なケースも乗り越えていけるような強い精神力も必要です。
産婦人科で働く看護師の主な職場
主な職場は産婦人科のある総合病院や産科クリニック、レディースクリニックがあげられます。
総合病院
産科病棟では、予定帝王切開や無痛分娩など、難しい症例を経験する機会が多い傾向にあります。また他科との連携がしやすく緊急の対応も可能なため、個人の病院では対応できない難しい出産に対応するケースもあります。
婦人病棟はオペの件数が多く、急性期の中でも特に忙しい病棟と言われています。手術療法以外にも、化学療法や放射線療法など様々な種類があり、術後の排尿障害やストーマ管理など看護師が主体に実施する処置もあります。産科よりも患者さまの年齢層が広く回転も早いため、残業が求められるシーンも考慮すべきです。
産科クリニック
産科クリニックでは総合病院よりも医療設備や人手が限られ、正常分娩が多く、異常が見られる場合は総合病院での対応となります。また総合病院よりも患者さまの回転は少なく、妊婦との距離も近いため密なコミュニケーションや信頼関係の構築が重要になります。
レディースクリニック
クリニックの中でも、特に女性の特有の病気に関し治療・診断するレディースクリニックも、婦人科の機能があります。入院施設がある場合は妊娠〜出産まで対応し、産婦人科同様の診療を行います。
ただし、産科クリニック同様に施設や人手は限られ、難しい症状や原因が特定できない場合は総合病院へ紹介するため、緊急性の高い診療はほぼないでしょう。
産婦人科で働く看護師の給料はどのくらい?
産婦人科で働く看護師の給料はどのくらいなのでしょうか?
ナースステップで産婦人科の求人を調査(2020年12月時点)したところ、正社員勤務で月給28万円~でした。経験によって基本給が加算されていきます。
入院設備のある病棟勤務の場合は夜勤手当が加算されるため、月給はさらに上がっていくことでしょう。
まとめ
産婦人科で働く看護師は妊婦への検診や診療の補助、分娩時の介助、出産後のケア、そして女性特有の疾患や不妊に対しての検査や診療補助などを行います。
新しい命の誕生に立ち会えるのは、産婦人科勤務の看護師ならではです。そして助産師を目指している人にとっても、良い経験となることでしょう。
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